石川県小松市 航空自衛隊小松基地 小松基地航空祭2019(9月16日)「オープニングフライト」
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9月16日、午前7時45分。
小松基地エプロン。
快晴。
混雑していないように見えるのは、人手が少ないからではない。
この段階でも、基地の入口や駐車場のバス待ちの列が延び続けている。
つまり、
まだ大半の観客が、基地の外にいるのだ。
夜半きっちりに家を出て、
紆余曲折を経て、
なんとかオープニングフライトに間に合った。

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7時47分、
オープニングフライトのF-15が離陸。

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先陣を切るのは306飛行隊の
F-15J #936(22-8936)
F-15DJ #069(92-8069)

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散開。

うう、近い。
出だしから単焦点の弱みを突かれる。
続いて、303飛行隊の
F-15J #938(22-8938)
F-15J #882(72-8882)
が離陸。

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アフターバーナー全開で加速、
そして会場正面でブレイク。
TACデパーチャー、通称「パッカン」。

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TACデパーチャーのTACはTactical(戦術的な)の略。
つまり、「戦術的離陸方式」となる。
屈強なF-15であっても離陸時は低速で直進しているので、
敵に弱点を晒している状態だ。
そこで、離陸直後に加速しながら急旋回して、
敵の攻撃を回避しつつ、いち早く攻勢に転じようという戦法なのだ。
とはいえ、これも航空祭用に美しくアレンジされている。
実際にTACデパーチャーをする必要がある時というのは、
自軍の基地に敵の航空脅威が迫っているというやんごとなき状況なので、
タイミングを合わせて美しくとか言ってる場合じゃなく、命がけだ。
互いにおよそ60度でバンク。

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そのまま外側にターン開始。

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翼端から長いベイパーを引く。

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ターンを終了後、直進。

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切り返し。

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更に加速、プルアップして
ゴマ粒くらいになるまで
青空を駆け上っていく。
止むことのない雷鳴のような響きが
空気を震わせる。

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それから約15分後。
離陸した4機のF-15が、
オープニングフライト編隊として戻ってくる。

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まずは、ダイヤモンド隊形。

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#936が先頭に立つ。

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ちなみに、編隊の先頭機は誰でもいいというわけではなく、
航空自衛隊ではれっきとした資格として運用されている。
まずは編隊長機に追従する僚機としてデビュー、
次に、2機編隊(element)を率いるエレメントリーダー、
さらに、4機編隊(flight)を率いるフライトリーダー、
そして、4機以上の大編隊(mass)を率いるマスリーダー、
というように、段階的に資格を取得することによって、
初めてそれぞれの編隊長となれるのだ。
よって、このオープニングフライトの編隊長は
「フライトリーダー」以上の資格が必要ということになる。

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第1航過から10分後、今度は反対方向から戻ってくる。

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隊形は、アローヘッド(矢じり)。

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やはり、編隊長機は#936。

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第2航過後、一旦飛行場の外に離脱した編隊は、
2機づつ、横一列(アブレスト)隊形になって会場に進入。

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会場直上で同時にレフトブレイク。

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高G旋回。

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これは「コンバット・ピッチ」。
TACデパーチャーの着陸版で、
戦闘態勢(隊形・速度)を最後まで保持しつつ、
飛行場上空で一気に着陸態勢に入って、とっとと降りてしまおうという技。
高G旋回で速度を落としながら、2機の着陸に必要な間隔を作り出す。

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翼端のベイパーが美しい。

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旋回を終了、ダウンウィンドレグへ。
ここで背中のスピードブレーキを立て、
ギア(車輪)を下ろす。

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そして、オンファイナル(最終進入)。

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「小松へようこそ!」

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素晴らしいオープニングフライトに感謝!
~まだまだかなり続く~
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こんにちは。
相変わらず素敵なお写真・・・うっとりです。
空港の展望デッキで撮っていたこちらは、カメラがというより腕が悪くて
ボロボロでした・・・
まだまだかなり続く、楽しみにしています。
ダンさん
ありがとうございます。
航空祭遠征お疲れ様でした!
雲のせいでブルーインパルスの区分ダウンがあったのがちょっと残念でしたね。
しかし、昼まではもう陽射しが痛くて痛くて、身体の露出部分は真っ赤になって後々大変なことになりました。
この陽射しというのが写真にも厄介で、地面が熱せられると空気が陽炎で揺らいで、望遠で狙うとピントが外れたような写りになってしまうんですよね。
この日も、まだ空気が冷たく安定していたオープニングがベストで、この後徐々に画質が低下していきます。
機材に投資しても、大気の揺らぎには勝てないことをまた思い知らされました。
スローペースですが、まだまだ続きますので、どうぞお付き合いくださいませ。