長野県東筑摩郡生坂村
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この時期、青い空に鮮やかな虹がかかることがある。
「環水平アーク」
高空に漂う細かな氷の結晶が作り出す、晴れた日の虹。
珍しくはあるが、注意して空を見上げていると
毎年けっこうな頻度でお目にかかる大気光学現象だ。
今日も、そんな虹を綺麗だなと思いつつ
何気なくカメラを向けた。

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環水平アークの上方、
青空にギラギラ輝く太陽の周りを
光輪が取り巻いている。
内暈(22度ハロ)だ。

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しばらくすると、
内暈とは異なる白い輪が
ぼんやりと浮かび上がってきた。

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やがて、その白い輪が
はっきりと姿を現す。
幻日環だ!

幻日環は内暈との交点が明るく輝くことが多く、
それがエセ太陽(幻日)に見えることからそう呼ばれる。
しかし、こんなに真円として見える全周幻日環は珍しい。
古代中国で幻日環は「白虹日を貫けり」といわれ、
戦乱の予兆とされ不吉がられたという。
しかし現在は、その発生原因が完全に明らかになったことで
稀有な大気光学現象として
心から楽しむことができる。
いい時代になった。
幻日環と内暈と、環水平アーク。
大気光学現象の三つ巴。

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と思ったら、
次は太陽にかかった雲が虹色に輝き始める。
これは「光環(光冠)」。
春先に花粉由来で発生するので、最近はかなり有名になった。
光環は高空の氷晶によってもこのように発生する。

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いやはや、
大気光学現象のデパートみたいな日だな、
と思っていたら、まだあった。
環水平アークから枝分かれするように上へ伸びる
淡い色調の虹。
「下部ラテラルアーク」だ。
これはかなりの激レアらしい。

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数年前、仕事中に幻日環を見つけたものの、
一眼レフを持っておらず
かなり悔しい思いをしてから
ずっと雪辱の機会を窺っていた。
ついに願いが叶った。
天気の神様よありがとう。
と思っていたら、
天気の神様はさらにおまけをくれた。
夕方、西に傾いた太陽のはるか上に
またもや上下逆の虹が出現。
「環天頂アーク」。

何気ない青空でも
実はとんでもない光学ショーを演じていることがある。
そんなことを実感した一日だった。
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とてもきれいな環水平アークですね。僕はこんなに美しいの見たことありません。最初の画像では外接ハロも出ているようですね。
中学生さん
コメントありがとうございます。
外接ハロ、気づきませんでした。ご指摘感謝です。
環水平アークは毎年結構な頻度で見ることができていて、今回よりももっと鮮やかで長いものを撮ったこともあるんですが、全周幻日環を撮影するのはこれが初めてでした。
本当に運が良かったと思っています。