ネオワイズ彗星を撮りに行く

長野県安曇野市 長峰山山頂

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こんなに晴れたのは何日ぶりだろう。

明けても暮れても
雨ばかりの毎日から一転、
どこまでも広がる青空。

太陽ってこんなに眩しかったのか。


EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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どうせずっと梅雨空なのだからと
諦めかけていたことがあった。

それは、
「ネオワイズ彗星」
を撮影すること。

今年の3月下旬、
NASAの赤外線観測衛星NEOWISEが
太陽系中心部を目指す彗星を発見、
その衛星から「ネオワイズ彗星(C/2020 F3)」
と命名された。

彗星は7月4日に近日点(軌道上で最も太陽に近い地点)を通過、
7月23日の地球最接近に向け、
徐々に間合いを詰めてきている。

当初の天文学的予想に反して、
彗星は核の崩壊が起こらなかったばかりか、
肉眼で見えるほど増光を果たした。

そして、7月に入ると世界中で
観測のニュースが飛び交い始めた。

しかし、今年の日本は雨ばかり。
一向に梅雨明けの気配はない。
月末に向け、
天気予報にはずらりと傘が並んでいた。

ところがこの日、
突然青空が戻ったのだ。



7月19日。
長野県安曇野市
長峰山山頂。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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憎き梅雨前線が無断欠勤している今日を逃せば、
ネオワイズ彗星にまみえるチャンスを永遠に失う。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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松本盆地北部を一望する高台に立つ。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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夕暮れ迫る。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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だが、昼間あれほど晴れていたにも関わらず、
山際に雲が湧き出してくる。

当たってほしくなかった予報どおりの展開。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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西日に照らされた雲は美しい。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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だが、今日に限っては
雲の美しさを味わう心の余裕がない。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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残照。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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雲よ、お願いだから
これ以上増えないでおくれ。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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祈る気持ちで
夜を待つ。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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山頂には、
彗星をひと目見ようと
人々が集まってきている。

願いは皆同じ。

EOS5D Mark IV + Auto Yashinon-DS 50mm F1.7

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午後8時過ぎ、
ようやく一番星、二番星と
空が暗くなってくる。

だが、彗星が見つからない。

予想外に明るい空に加えて、
次々と流れてくる雲が邪魔をする。

EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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この辺にいる、ということは分かっている。
でも、肉眼では全く見つけられない。

当てずっぽうにレンズを向けて、露光してみる。

すると、写真の右下に
なにか写っている。

EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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拡大してみる。
そこに、淡い光の尾を曳いた星。

彗星に間違いない。
やっと見つけた。

EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM(一部拡大)

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しかし、この直後再び彗星を見失う。

次から次へと湧いては流れてくる雲で、
位置を推定するための星が隠れて
彗星がどこにいるのか分からない。

彗星を完全にロストしたまま
30分あまりが経過。

その間にも、
厚い雲で何も見えなくなることが多くなってきた。
天候は着実に悪化している。

近くで彗星撮影に挑んでいたカメラマンが
「曇っちゃってダメですね、帰ります」
と肩を落として家路につく。

これは本当にもうダメかな、
と思い始めた。

その時、
わずかに雲が切れた。


午後8時28分、
ついに捉えた。

EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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しっかりと光の尾をなびかせている。

ネオワイズ彗星(C/2020 F3) 長野県安曇野市 長峰山
EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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だが、容赦なく雲は流れてくる。

EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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午後8時33分、
再び彗星は見えなくなった。

EOS5D Mark IV + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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たった3分にも満たない
彗星との逢瀬。

でも、会えて良かった。


ネオワイズ彗星の公転周期は約6800年。

彗星が次に戻ってくるのは
西暦8786年頃だという。

その時、
回帰したネオワイズ彗星を
地上から見上げる人類が
はたして生存しているのか、
それすらも定かではない。

それほどの遠い未来。


宇宙って大きいんだな。

 

撮影後記

 たった数枚とはいえ、なんとか撮影できたのは幸運というほかありません。
 でも結局、最後まで肉眼で彗星を見ることはできませんでした。
 前回撮影したパンスターズ彗星はまだ冬の気配が残る透き通った空だったので見つけるのも容易でしたが、今回は非常にヒジョーに苦戦しました。
 本当はもっと広角や超望遠でも狙おうと思っていましたが、そんなこと言ってる場合じゃないくらいの悪条件だったことは確かです。
 正直なところ、かなり口惜しいです。

 22日夕方の予報が一時、晴れマークになったのですが、その後に雨マークに変わりました。
 晴れればぜひともリベンジしたいところですが、今のところその可能性はかなり薄そうです。
 晴れろ!
 2時間でいいから晴れろ!

 

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