平田浩一 肥田野雄紀 氷彫刻『イルカ』【1】

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長野県松本市 第27回 国宝松本城氷彫フェスティバル 全国氷彫コンクール (2013年1月26~27日)

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2013年1月26日、
長野県松本市、松本城公園。

17時30分。

気温マイナス3℃、
乾いた雪が降っている。

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暖かかった去年の大会とは真逆の
冬らしすぎる寒さ。

この日、気温は日中でも常に氷点下、
いわゆる真冬日となった。

寒くて人間にとっては辛いが、
氷彫刻にとっては好天だ。

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競技会場のほぼ中央に平田浩一さんの姿があった。

今回、平田さんとタッグを組むのは、
肥田野雄紀(ひだのゆうき)さん。

肥田野さんの本業はジェラート職人。
本場イタリアで修行を積んだ後に
都内のジェラートショップに勤務、
名のある氷菓コンテストで優勝経験を持つ。

また、氷彫刻でも、
昨年1月にイタリアで開催された
「ジェラートワールドカップ(コッパ・デル・モンド・デラ・ジェラテリア=CMG)」に
氷彫刻部門の選手として出場し、第1位を獲得した実力派だ。

平田さん曰く、
「氷彫刻界期待の新人」
とのことだ。

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18時、
競技開始。

配布された氷(原氷)は15本。

そのうち5本は台座用として、
残りの10本を使用し、
翌朝6時までの12時間で氷像を完成させる。

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各チームが一斉に慌ただしく動き出す。

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まずは氷の切り分け。

氷を無駄なく使い切れるよう、
事前に準備した図面に従って
正確に氷を切り分けていく。

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間違いのないよう、
何度も図面を確認する。

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切り分けた氷の組み上げ。
原氷1本の重さは約135キロ。
切り分けたとしても相当な重さがある。

二人がかりで、背丈に迫る高さまで積み上げていく。
彫り始めてからの位置修正はほぼ不可能なので、
正確な位置に氷が置かれているかにも神経を尖らせる。

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氷の間に水を流し込む。
隙間に染み渡った水は凍結して
氷同士が接着され、ひとかたまりの氷となる。

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制作開始から50分。
最初の組み上げ作業が完了。

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気温はマイナス3.7℃。
東の空の雪雲は薄くなって月が透けて見えている。

しかし、依然として雪は降り続いている。

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平田さんが三角ノミで筋彫りを開始。
図面から氷の上に形を写し取っていく。

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筋彫りの線をドリルでなぞって深くする。
続く切削作業への備えだ。

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筋彫り完了。

見えてきたのは、生き物の形。

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切削開始。
まずは、縁の不要部分をチェーンソーで一気に削ぎ落とす。

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続いて、平ノミ(大)で
さらに削り込む。

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筋彫りの線に沿って削った後、
次に立体的な形に削っていく。

この立体像は図面には描かれていない。
どのような立体にするかのプランは、
平田さんのイメージの中だけに存在している。

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削る箇所に応じて
様々な道具を持ち替えて使う。

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荒削りが終了。
続いて某グラインダーを使って
曲面を出していく。

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気温が低いので
削られた氷は細かな粉になって風に舞う。

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全身に細かな氷を浴びながらの作業。

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目を彫り込んでいる。

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20時14分。
でき上がったのはイルカの頭部。

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どのチームもまだまだ制作序盤。
大きな氷が積み上がってきてはいるが、
具体的な造形はまだ見えてきていない。

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肥田野さんが図面を参照しながら
氷を採寸。

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チェーンソーで切り分けていく。

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切り出した氷を
変則的な大きい一枚板へと組み上げる。

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そこへ筋彫り。

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辺縁部を切り落とす。

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三日月型の部品ができあがる。

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そこへ、平田さんが「三枚おろし」の要領でチェーンソーの刃を入れる。
わずかでも手元が狂えば、たちまち崩壊してしまう恐れもある。
精密なチェーンソーさばきが求められる。

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部分的にスライスした部分を
複雑な形に削り出していく。

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ここで、作業を肥田野さんに引き継ぐ。

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三日月型の部品自体は大きくないが、
彫刻の手数が多い。

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肥田野さんは一点集中でこの部品制作に取り組む。

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20時過ぎ、
三日月型の部品に、複雑な造形がびっしりと彫り込まれた。

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【2】に続く




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