平田謙三 平田浩一 氷彫刻『2015年 飛翔』【2】

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午後7時。

気温摂氏0.4度。

本体の制作と並行して
別の部品の組み上げが行われている。

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浩一さんが三日月形に筋彫りを施す。

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その様子を傍らで見守る謙三さん。

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浩一さんが身振り手振りをまじえて
削り方について謙三さんに説明する。

例年なら、それぞれに図面を見ながら黙々と進める作業。
ほとんど親子の会話のないシーンだ。

しかし今回は、
イメージを全て言葉にして謙三さんに伝えなければならない。

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説明を聞いた謙三さんが
氷の切削を開始する。

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浩一さんは一つの工程ごとに、自分の作業の手を止めて
細かな構想を謙三さんに伝える。

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その度に謙三さんは作業の手を止め
浩一さんから受け取った言葉を
逐一、形にしていく。

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そしてまた、浩一さんが新たなイメージを伝える。

そんなやり取りが幾度となく繰り返される。

作業中に、これほどまで多くの言葉を交わす親子の姿は
いまだかつて見たことがない。

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伝えては削り、また伝えては削り、
作品が完成するまで
そういう作業が延々と繰り返されると思っていた。

しかし、しばらくするとそれまでの会話はなくなり
独り黙々と氷を削る謙三さんの姿があった。

お互いに「言わんとすることはよく分かった」
という境地に至ったのだろうか。

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ドリルを操り、
氷塊に有機的な曲線を与えていく。

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作業開始から1時間後。
謙三さんの担当する部品が1つ出来上がった。

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大雪の中、2個めの部品の制作にとりかかる。

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ただでさえ薄い氷に、幾重にもチェーンソーを入れる。
慎重かつ正確な操作が必要だ。

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この夜、夜半すぎまで
謙三さんは独り黙々と
このパーツを何本も作り続けた。


【3】に続く

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