平田謙三 平田浩一 氷彫刻『2015年 飛翔』【7】

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】

.

作業で出た氷屑。

.




作業が大詰めを迎えている午前3時くらいから
謙三さんはこの氷屑の片付けに追われていた。

夜通し氷を彫り続けた身体には
かなり堪える重労働だ。

日本の氷彫刻を牽引してきた謙三さん。
この世界では誰もが認める、やんごとなき重鎮である。

しかし、そんな仰々しい素振りは一切見せず
彫刻を続ける浩一さんを
ただ黙々と補助する。

.




タイムリミットである午前6時まで氷を彫り続け、
それから片付けに入るチームも多い。

しかし、平田チームはいつも
時間内に片付けまで完了させる。

.



彼らにとっては、
お客に観てもらう準備が整っていなければ
作品が完成したとは言えないのかもしれない。

プロフェッショナルだと思う。
 

.



道具の扱いもそうだ。

.



数年前、初めてこの光景を見た時、
これは片付けでなく、「道具を湯浴みさせている」のだと思った。

.




氷を彫る時、
道具は身体の一部となる。

.



道具を自分の身体のように慈しむ。
その姿がいつも印象的だ。

.




氷を彫り終えた浩一さんが
片付け作業に合流する。

.




まだどのチームも氷と格闘している中、、
この親子だけがいそいそと撤収準備を進めている。

それは、なんとも不思議な光景だった。

.




午前5時。

気温マイナス4度。

最終仕上げである表面処理が始まる。

.



波しぶきの部分にぬるま湯をかけていく。

.




ぬるま湯によって、氷表面の細かな凹凸が解け
実際の波に近い、よりランダムで自然な曲線となる。

.



さらに、微細な凹凸が解けて滑らかになった氷の表面が再氷結する。

うっすらかかっていた白い霞が消え、
硝子のように透きとおった氷に変化していく。

.




.




.



翼は、微細に彫り込んだ羽根の形が損なわれないよう、
油差しを使って、ゆっくりと水を注いでいく。

.




.




.




最後に使うのが
ガスバーナーだ。

.



ぬるま湯をかける方法は
効率はいいが、狙った場所以外の氷も解かしてしまうデメリットがある。

そこでガスバーナーの局所的で高い熱量を利用して、
ピンポイントで表面仕上げを施すのだ。

.



炎で氷を炙るという
不思議な作業が続く。

.



いつしかそこには
今にも飛び立ちそうな
凍てつく大ワシの姿があった。

.

【8】へ続く

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】

 

「氷彫刻」の関連記事

0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。