平田浩一 近藤卓 氷彫刻 『ペガサスの親子』【9】

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ついに気温は-10℃に到達する。

指先がジリジリと痺れてくる寒さだ。

.この日の松本測候所のアメダスでは、
最低気温が-8.1℃となっているが、
会場の地表近くではこの時すでに
-10℃となっている場所があったのだ。




そんな寒さゆえ、
頭上に降り注いだ砕氷は
ガチガチに凍りつく。

しかし、そんなことを気にする余裕がない。
作品の完成に向け、
一点集中の境地で作業が続いている。

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親ペガサスの翼に
さらに手を加える。
素人目にはもう十分であるような気がするのだが、
平田さんの中に妥協という文字は見当たらない。

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疲労も頂点に達しているであろうこの時間帯に、
ビール箱三段重ねの上に乗っての高所作業。

何度見てもヒヤヒヤする。

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風切羽根の加工も
終わっていたわけではなかった。
羽根の形状のみならず、
質感を再現するため、細かな溝を彫り込んでいく。

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初列風切から次列風切へ。

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翼面に生えた羽根もまだまだ彫り込む。

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子ペガサスの翼も。

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子ペガサスの胴体を回し挽き鋸で擦って
滑らかな曲面に整える。

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3時50分。
二人の動きがさらに慌ただしくなる。

近藤さんが差し出した設計図を見ながら
氷を切り出す平田さん。

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筋彫りもそこそこに
一気に彫り込む。

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3時58分、
勾玉形の部品ができた。

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子ペガサスの尻尾だ。

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3時59分、
尻尾の接着完了。

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4時。
残り1時間。

仕上げ工程に入る。

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ブロワーを使って、削り屑を落としていく。

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近藤さんは台座の仕上げにかかる。

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平田さんがブロワーで飛ばした削り屑が
時折、吹雪のように降り注ぐ。
だが、お構いなしに作業は進む。

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4時17分。

近藤さんが表面仕上げ用のガスバーナーに点火。

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表面処理が始まる。

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炎の当たった部分の氷は
表面だけが僅かに解け、
細かい傷がなくなり平滑になる。
解けた表面はすぐに氷結してガラスのような光沢となる。

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炎で炙られたところが
みるみる透明になっていく。

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会場には残氷回収の軽トラが行き交う。
トラックの窓越しに
作業を見守る。

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4時46分。

表面処理が終わり完成かと思いきや、
平田さんがドリルを手に、
ペガサスの裏に回る。

大きな翼越しに
平田さんの動向を窺う。

なんと、透明だった右の翼に
羽の模様が刻まれていく。

平田さんは残り15分の時点で、
さらに作品を理想形に近づけようとしているのだ。

凄まじい。

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4時48分。

ついに全ての彫刻作業が終わる。

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氷彫刻
『ペガサスの親子』
完成。

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複雑極まりない造形。

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与えられた12時間をフルに使ったとはいえ、
完成へと漕ぎ着けたことに
ただただ驚くしかない。

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前方から覗き込むと、
その立体感がよく分かる。

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完成した作品を眺める間もなく、
淡々と行われる撤収作業。

.根を詰めるだけ詰めた12時間。
さすがにその表情には
疲労の色が浮かぶ。

不眠不休で12時間氷を彫り続けることが
どういうことなのかを
改めて思い知る。



【10】に続く

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