加瀬秀雄 赤羽目健悟 氷彫刻『さあ出発!!海の中の新しい仲間と共に』【2】

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17時26分。
製作開始。

予定よりも数分早く競技がスタートする。

会場のあちこちで
工具が一斉に唸りだす。

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いままでになかったほどの混雑ぶりで
開始直後から人の壁が出現。

多くの観客が、作業の行方を見守る。

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しかし、観客の
「いったい何が起こるのかな」という期待とは裏腹に、
初めて見る人にとって序盤の作業というのは、
かなり地味で変化に乏しいものなのである。

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図面としきりににらめっこしたり、

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メジャーであちこち計測したり、

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再び図面を指でなぞったり、

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そういう時間が
しばらく続く。

与えられた氷柱には限りがある。
ただ闇雲に彫れば、材料が足りなくなったり
削り屑ばかりが多くなってしまう。

だから、あらかじめ描いた設計図をもとに
最も無駄のない形に氷を切り分ける必要がある。
序盤のこの採寸作業は、そのためだ。

氷彫製作の根幹をなす作業なだけに、
決しておろそかにはできない。


採寸の次は氷の切断。

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ノコギリでの表面処理。
素早くこすって、氷表面の汚れや凹凸を落とす。

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さらに大ノミで表面を平滑にする。

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逐一、最新の注意で
平面の精度を確かめながら
作業を進める。

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表面処理を終えた氷柱を
二人がかりで運搬。
もともとの氷柱は1本あたり135キロもある。
切り分けたとしても相当の重さだ。

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別の氷の上に積み上げる。

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丹念な表面処理は
氷の積み上げの際、
内部に汚れを閉じ込めないことと、
氷同士を密着させることに目的がある。

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透明な氷なだけに
最初に汚れを閉じ込めてしまうと
完成した後、汚れが透けて見えてしまったり、
氷同士が密着していないと
倒壊の危険が出てくるからだ。

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競技開始後30分が経過。

会場のあちこちで
氷の塔が上に向かって成長を始めている。

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氷彫刻製作の過程において
この開始直後の時間帯は
彫刻家というよりも、
いわば「建設業」なのである。

今後の彫刻作業に先立って、
その土台となる氷塊をいかに正確に積み上げるか。
水平やバランス、全体の強度に気を配りながら作業を進める。
重い氷柱を運搬しなければならないところも
まさに建設だ。

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重ねた氷柱の間にノコギリの刃を通して、
接着面の凹凸を最終的に解消する。
この後、接着面に水を流し込むと
その水が凍って、氷同士が固着する。

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開始から1時間15分が経過。
各チーム、氷塊が大きくなってきている。

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重労働が続く。

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製作序盤のこの肉体労働が
ボディーブローのように効いてくる。

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氷彫刻といえば氷を「彫る」ことだけにスポットが当てられがちだが、
氷に形を与えるためにはまず、この積み上げという作業は
避けて通れないのだ。

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赤羽目さんが、積み上げた氷塊に何かを載せている。

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ドライアイス。
この時点で、気温は摂氏2.8度。
冷えてきているとはいえ、
氷がゆっくり溶けていく温度に変わりはない。
氷が持っている冷気だけでは固着できるか不安が残る。
そこで、ドライアイスの持つ強力な冷気で、
氷塊の脆弱な箇所を「養生」するわけだ。

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19時20分。

氷柱の積み上げ作業が完了。
大きな氷塊が2つ出来上がった。

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いよいよ、彫刻作業が始まる。

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【3】に続く

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