加瀬秀雄 赤羽目健悟 氷彫刻『さあ出発!!海の中の新しい仲間と共に』【4】

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19時48分。

チェーンソーによる切削開始。

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チェーンソーの刃が前後するたび
細かい砕氷が舞い散る。

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チェーンソーを操る赤羽目さんを見ていて
これは、と思う。
チェーンソーさばきが鮮やかすぎるのだ。
いわゆる「若手」の手つきとは根本的に違う。
刃運びが正確だし、
細かいところまで刃先を使って一気に切り込んでいく。

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19時52分。

トラブル発生。
チェーンソーが止まってしまった。

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加瀬さんのチェーンソーも止まっている。

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どうやら、使用電力量の上限を超えて
ブレーカーが上がってしまったようだ。
チェーンソー2台を同時使用はかなり電気を食う。

すぐに赤羽目さんが会場スタッフとともにブレーカーを復旧、
事なきを得た。

氷彫製作の現場では、こういう突発的なトラブルも珍しくない。

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加瀬さんも、もう一つの氷塊の切削を進めている。
やはり加瀬さんも、チェーンソーさばきが
昨年よりも格段に速くなっている。
人の進歩というものは恐ろしい。

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二人の作業にたどたどしさは全く無い。
着々と氷を削っていく。

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チェーンソーでの切削が終わった加瀬さんは
平ノミに持ち替えて、
さらに形を出していく。

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丸みを帯びた塊の上に
角のようなものが生えてきている。

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赤羽目さんも平ノミに持ち替えて
さらに削っていく。

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鋭利な平ノミで削られた氷は
油を塗ったような光沢を持って
ギラギラ輝く。
こういう生々しい氷の表情を見られるのは
製作中に限られる。

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作業場の裏側から覗き見ると
まるで氷山の谷間で
うずくまっているようだ。

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赤羽目さんは
電動ドリルに持ち替えて
細かい彫刻に取り掛かっている。

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かたや加瀬さんは再び
チェーンソーに持ち替えて
大きく氷を削っている。

こうやって、場所や目指す形に合わせて
適切な道具を選択しながら
作業は進められるのだ。

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20時30分。

作業開始から3時間経過。
氷が具体的な形を帯び始めた。

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作業を見ていて気づく。

赤羽目さんは
相当の「チェーンソーマン」なのだ。

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チェーンソーといえば、
氷を大きく切ったり削ったり、
どちらかと言うと
荒削り用の道具である。

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赤羽目さんは
普通なら平ノミやグラインダーで仕上げるような場所まで
チェーンソーの刃先で削っていってしまう。
確かに効率のいいやり方だが、
チェーンソーの扱いに慣れていなければできない芸当だ。

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涼しげな顔でチェーンソーを手にしたと思ったら、
何の迷いもなく氷に斬りつける。
チェーンソーで粉砕された氷が雪のように降り注ぐ。

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チェーンソーを上段に構えて
氷を削っていく赤羽目さんには
「氷を力でねじ伏せる」という表現がしっくりくる。

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この鮮やかなチェーンソーさばき。
一朝一夕で身につく技ではない。
赤羽目さんは確かに若いのだが、
それはただ年齢的に「若い」だけなのであって、
氷彫刻師としてはすでに、かなり鋭いものを秘めているのではないか。

若きチェーンソーマンが空高く飛び散らす砕氷を見ながら、
そんなことを考えずにはいられなくなってきた。

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【5】に続く


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