安曇野の白鳥シーズン1(2008)

安曇野市穂高北穂高 狐島の水田

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白い鳥に

出会った日のこと。




 

長野県安曇野市、穂高北穂高
狐島地区のとある水田。

数百羽の白鳥が集う。


安曇野市穂高北穂高狐島の水田、白鳥の餌付け
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM (2008:02:01 11:49:35)

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そこはまさに、

白鳥たちの楽園。



白鳥が集う狐島の水田
EOS5D + EF50mm F1.4 USM  (2008:02:01 12:05:44)

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蒼空を舞う白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:08 09:15:42)

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群れ飛ぶ白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:08 09:27:03)

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カメラマンたちにとっても

ここは聖地だった。



狐島に集う白鳥カメラマンたち
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:08 09:38:21)

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北アルプスの山稜を背に

白鳥たちが舞い飛ぶ。



常念岳をバックに飛ぶ白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:08 09:40:32)

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ある時は

墨絵のような霧の中を

舞い降りる。



霧の中を飛ぶ白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:11 09:38:50)

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霧の中を群れで舞い降りる白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:11 09:42:39)

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EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:11 09:51:42)

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高空を行く

白い隊列。



隊列を組み高空を行く白鳥の群れ
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:14 09:21:07)

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EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:14 09:31:26)

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雪に煙る
鈍色の山をバックに舞う。



有明山をバックに飛ぶ白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:14 10:06:26)

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雪の常念岳と白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:14 10:31:06)

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地上に降りた彼らは一転、

愛嬌たっぷりの姿を見せる。



片足を上げる双子の白鳥(幼鳥)
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:14 10:50:59)

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着陸間近の白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:16 09:33:49)

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EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:16 09:35:11)

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大気を掴む

白く大きな翼。

美しい。



翼を広げて飛ぶ白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:16 09:46:37)

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仲間同士、

息を合わせて飛ぶ。



EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:16 09:48:38)

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EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:16 09:53:38)

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EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:16 10:24:14)

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常念岳を背景に飛ぶ二羽の白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM  (2008:02:20 08:58:45)

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EOS5D + EF300mm F4 L IS USM (2008:02:16 10:24:57)

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群れで舞い降りる白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM ( 2008:02:16 10:10:16)

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春を告げる雨。

北帰行が近づく。



春の雨の中の白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM (2008:03:14 12:53:24)

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水田から飛び立つ白鳥
EOS5D + EF300mm F4 L IS USM (2008:03:21 17:19:20)

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夕暮れの狐島。



夕暮れの水田と白鳥
EOS5D + EF24-70mm F2.8L USM (2008:03:21 18:27:41)

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白鳥との出会い

 私が白鳥を初めて見たのは、通勤途中の車窓からだった。
 真冬の透き通った空の高みを自分の車よりも速いスピードで、2羽の大きな鳥が通り過ぎていった。
 朝日に輝くその白い翼は神々しくすらあり、溜息が出るほど美しかった。
 しかしその時はまだ、後に自分が白鳥の虜になるとは思いもせず、邂逅の記憶は徐々に薄れていったのだった。

白鳥の聖地「狐島」へ

 白鳥と私の関係を決定づけたのが、白鳥たちの集う「狐島の水田」を知ったことだった。
 職場での何気ない雑談中、ふいに上司が
「球さ、白鳥が沢山来てる田んぼ知ってる?」
と私に言ったのだ。
 安曇野に白鳥が来ていることは知っていたが、白鳥のいる田んぼなんて聞いたことがなかった。
 しかもなぜ、田んぼに白鳥がいるのだ。
 白鳥といえば、「湖」とかではないのか。
 頭上に疑問符を付けた私に、上司はニヤリと笑う。
「安曇野にいるのに、あの田んぼを知らないとはモグリだな。じゃあ、ちょっと見に行くか」
 外回りのついでに、と言って助手席に私を乗せた上司は、穂高の田園風景の中に車を走らせた。
 車の窓の外には、何の変哲もない真冬の安曇野の景色が広がっている。
 稲の切り株が規則的に並んだ、冬枯れの水田が後ろへと過ぎ去っていく。
 その見慣れた景色の中に、突然ありえない光景が現れた。
 なぜかそこに1枚だけ、白い田んぼがあった。
 遠くから見ると、まだらに雪が積もっているように見える。
 なぜその田んぼだけ雪が残っているのか。
 さらに近づくと、それが雪でないことがすぐにわかった。
 1枚だけ水を張った田んぼに、白い塊が何百とひしめいている。
 よく見るとその白い塊は全て、白鳥なのだ。
 こんなにだだっ広い景色の中で、どうして幾多の白鳥が1枚の田んぼに集結しているのか。
 その奇異な光景に圧倒された。
 ここが、白鳥の聖地「狐島の水田」なのであった。
 ドヤ顔の上司を横目に、大変なものを見てしまった、と思った。
 これは撮らねばなるまい、と強く思った。

初めての白鳥撮影

 数日後。
 2008年2月1日、私はカメラを携えて狐島の水田に向かった。
 狐島の水田にはその日も、やはりおびただしい数の白鳥がいて、羽繕いをしたり眠ったりして、気ままな時間を過ごしていた。
 突然、白鳥たちが一斉に頭を高く上げ、一箇所に注目した。
 彼らの視線の先にはビニールハウスがあって、しばらくするとそのビニールハウスから一人の老人が現れた。
 ゴム長靴を履いて、首から水色のプラスチック箱を提げた老人は、まっすぐに田んぼへ入っていく。
 それを見た白鳥たちの興奮ぶりが凄い。
 その老人めがけて、白鳥たちが突進する。
 田んぼの端っこにいた白鳥は、遅れてなるものかと翼の力を借りて駆け寄ってくる。
 老人の周りを取り囲んだ白鳥たちは、大きな鳴き声を上げて騒ぎながら、老人の周りをぐるぐる回り始める。
 一体何が起こっているのかわからずポカンとしていると、老人は首から提げた箱の中に手を入れて何かを掴むと、黄色い粉のようなものを白鳥の輪の中に投げ入れた。
 白鳥たちはその粉の落ちた場所めがけて突進し、泥の中にくちばしを突っ込んでしきりについばんでいる。
 それは初めて目にした、白鳥の餌付けだった。
 そしてその老人こそ、この水田の持ち主であり、白鳥を愛してやまない「狐島の爺ちゃん」なのであった。

 この日、水田に白鳥を撮りに来ていた常連のカメラマンから「白鳥の初歩の初歩」について教わった。
 この水田には餌付け目当ての白鳥がやって来ていること、彼らは朝この田んぼにやってきて夕方にはねぐらに帰ること。
 なんとしても、飛んでいる凛とした白鳥の姿を撮ってみたいと思った。

飛んでいる白鳥

 満を持して望んだ、1週間後の2月8日朝。
 午前9時、気温は約マイナス6度。
 狐島の田んぼの上には、透き通った青空が広がっている。

 田んぼに到着してほどなく、南の空から「コー、コー」という、白鳥特有の甲高い鳴き声が小さく響いてきた。
 声の方に目を凝らすと、彼方の空にいくつもの影が現れて、折れ線グラフのような隊列を組みながら、少しづつ近づいてくる。
 やがて白鳥の一団は狐島の田んぼの上に到達する。
 朝の眩しい光を照り返す白く大きな翼が、青空をバックに白抜きのように浮かび上がる。
 着地点を見定めるかのように、旋回しながら降下を始める彼ら。
 鳴き声が四方八方から幾重にも重なり、そこに大きな翼が風を切るシューッという音が交じる。
 螺旋を描きながら次々と舞い降りる白鳥たち。
 その光景に、完全に圧倒された。
 カメラを向ける余裕もなく、ただ口を開けて空を見るしかなかった。

 飛んでいる白鳥を撮るのは、地上にいる彼らを撮るのとは全く勝手が違う。
 彼らは上空360度の三次元空間を縦横無尽に飛ぶ。
 降下したり上昇したり、真っ直ぐ飛んだり円を描いたり。それは彼らの気分次第で、次に彼らがどこにいくのか素人目には殆ど予測がつかないのだ。
 三脚に据えたカメラで彼らを追いかけたり、一発必中で狙ってシャッターを切るというような手段が通用する相手ではないということを瞬間的に理解した。
 初心者の私は、望遠レンズを付けたカメラを手持ちで構えて、とにかく彼らをファインダーから外れないようにして、連続でシャッターを切るしかない。

 次々と飛来する彼らを夢中で撮り続ける。すぐにメモリーカードが満杯になった。
 1日で1000枚を超えることも珍しくない。

 ムキになって撮って、帰宅して莫大な写真を一枚一枚確認する。
 ブレている。オーバーフレームしている。露出が暴れている。
 ボツ写真の山ばかりがそこにあった。
 でもたまに、そんなゴミのような写真の中に、ちょっとよく撮れたものが混じっていたりすることがある。
 そうか。白鳥を撮るということは、川底の砂の中から砂金一粒を拾い上げるような作業なのだ、とその時思った。
 だから、とにかく考えながら沢山撮るしかないのだ、と思った。
 もっともっと白鳥を撮りたい。
 いつしか、白鳥撮りにどっぷりとはまっている自分がいた。 

白鳥撮りの始まり

 1シーズン目の白鳥は、とにかくわけも分からずただ撮っていた一方で、「白鳥の何を撮りたいのか」については、すでにうっすらと自覚していたように思う。
 今思えば、この白鳥撮りが自分の撮影スタイルや、写真哲学の基礎を作ったことは間違いない。
 そしてこれから、この狐島の水田で白鳥を巡る様々なドラマと出会うことになる。
 私の写真人生も、大きく変わっていったのだった。

(シーズン2へ続く)

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