安曇野の白鳥シーズン7【外伝】2 ― ピーちゃんとフクちゃん、それから。

長野県安曇野市豊科 犀川白鳥湖

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毎年、数多くの白鳥たちが越冬する
犀川白鳥湖。

そのほとりに
ピーちゃんとフクちゃんはいる。

狐島の保護舎を出たふたりは
ここで
他の白鳥たちを間近に見ながら
自由に暮らすことになった。

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ピーちゃん。

外に出たのは何年ぶりだろう。

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いろんなものに
興味津々。

半分白鳥で半分人間のピーちゃんは
たまに白鳥湖の駐車場をトコトコと
気ままに散歩するらしい。

ある時は、ベンチに置いてあったカメラのストラップに噛み付いて
機材を地面に引きずり落とし、
ものの見事に壊したとか壊さないとか・・・

物怖じしない性格は健在のようだ。

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フクちゃん。

相変わらず、人間に媚びないクールな横顔。

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保護舎の中では不機嫌そうに
時折ピーちゃんを突いたりしていたが、
今は心穏やかに暮らしているようだ。

 

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新顔
「のぶちゃん」。
のぶちゃんもピーちゃんと同じく
怪我で片翼を失った。

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独りで乗り切った安曇野の夏。
冬の訪れとともに
思いがけず
新しい仲間が増えた。

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なぜか
人間を怖がらない3羽の白鳥。

記念写真の格好のモデルとして大人気だ。

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ピーちゃん、フクちゃん、のぶちゃん。
いま、3人の上には
安曇野の大きな空が
広がっている。

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1月初旬のこの日、
久しぶりに
元気なピーちゃんとフクちゃんの姿を見て安心した。

その後も風のうわさに
ピーちゃんの武勇伝を耳にして、
これからもきっと3羽で仲良く暮らしていけるだろう、と思った。

このブログの記事も
めでたしめでたし、という流れで終える予定だった。

しかし、
数日前に訪れた安曇野で知らされたのは
思ってもいないことだった。

ピーちゃんがいない。

フクちゃんとのぶちゃんを残したまま
ピーちゃんだけ
数日前から行方知れずになってしまった。

歩いてどこかに行ってしまったのか。
川に流されてしまったのか。
それとも・・・
何かしらの痕跡すら見つからず、
その行方は誰にも見当がつかないのだという。

まさか。
悪い冗談であってほしい。

その話を耳にしたその足で
犀川白鳥湖に向かった。

残念なことに、
そこにピーちゃんの姿はなかった。
あの話は本当だった。

フクちゃんとのぶちゃんは
何もないかのように
水面に佇んでいることに
かえって気持ちがざわめく。

白鳥湖の全体を見下ろすことができる
光橋の上から
辺りをくまなく探してみる。
かつて、飛べなくなった白鳥「あずみ」を
そうやって見つけたことがあったからだ。

しかし、
どこにもピーちゃんの姿を見つけることは
ついにできなかった。

その後も
ピーちゃんが戻ってきたという話は
まだ私のもとに届いてはいない。

保護舎の網の隙間から顔を出したピーちゃんが、
コーコー鳴きながら
パクパク咥えてきた指の感触を思い出すたびに、
大好きだった爺ちゃんに思い切り甘えるその姿を思い出すたびに、
なんだか胸が苦しくなる。



 

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