雪夜の手筒花火 ― 小布施安市2017

長野県上高井郡小布施町 小布施安市(1/14)

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紅蓮の火花と

純白の雪が

天から降り注ぐ。


EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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手筒花火は
三河・遠州地方に伝わる
伝統的な花火。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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それは一般的な
「打ち上げ」る花火ではなく、
「吹き上げ」るもの。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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周りに荒縄を巻いて補強した竹に
火薬を詰めたもので、
先端に点火すると
筒から勢い良く火炎が噴出する。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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玩具花火だったら
点火したらすぐに離れて
遠くから見て楽しみましょう、となるのだが
手筒花火は違う。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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「手」筒花火の名のとおり
火薬の燃焼中、花火筒は
ずっと傍らに抱えられているのだ。

だから、この花火は「打ち上げる」と言わない。
「放揚する」という。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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黒色火薬と鉄粉からなる燃焼剤は
ロケットのように
巨大な火柱を吹き上げる。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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龍の雄叫びのような噴出音とともに
灼熱の火塵が空に舞い上がる。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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そして、
弧を描いて
地上に降り注ぐ。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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放揚者は
その火の粉を全身で浴びながら
じっと耐える。

その姿が
勇ましい。

雪夜の手筒花火
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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この花火は
花火師が製造するのではなく
花火師の監督のもと
放揚者自ら
竹を切り、
縄を巻き、
火薬を詰めて
仕上げたものだ。

そして、それを自ら放揚する。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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手筒花火は
男の過激な手仕事なのだ。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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手筒花火には抱える大きさの筒もあれば、
通称「羊羹」という
片手で持てるサイズのものがある。

雪夜の手筒花火
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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ただし、
小さいからと言って
甘く見てはいけない。

小さい分
吹き上がった火の粉は
消えずにそのまま降り掛かってくる。

大きな筒よりも
放揚者は火の粉の熱さに
耐えねばならないそうだ。

雪夜の手筒花火
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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火の粉の熱さと
雪の冷たさを
同時に味わいながらの放揚。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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放揚の終盤、
燃焼剤が燃え尽きる直前に
筒の根本に仕込んだ
強力な火薬に火がつく。

バシンという破裂音とともに
筒の底が抜け
多量の火の粉が舞い散る。

手筒花火のフィナーレを飾るこの爆発的燃焼を
「はね」
という。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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「羊羹」花火の「はね」は
小さいだけあって、ほどほどにマイルドだ。
スパーンという軽快な音をきっかけに
火の粉が舞い散る。

しかし、大きな筒の「はね」は
桁が違う。

「はね」の瞬間
ズドンという重い衝撃とともに
空気が揺れる。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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筒の底から一気に噴き出す火炎は
積もった雪を
土ごと吹き飛ばすくらいの威力がある。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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火炎の衝撃は
強い反動となって
筒に跳ね返る。

荒縄を幾重にも巻いた
重量のある筒が
「はね」の勢いで
ロケットのように飛び上がる。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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放揚者は
その筒が飛び上がろうとするエネルギーを
一本背負いの要領で
回転運動に変える。

宙に円を描く筒の底から
火の粉が舞い散る。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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いつ「はね」が来るのか
予測できないところが
非常にスリリングだ。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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そろそろかな、というところまでは分かる。
だが、そこからは筒によって
「はね」までの時間が異なる。

カウントダウンは不可能。

心の準備ができていないところに
いきなりの衝撃。

観客はビクッと身を震わせる。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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辺りを紅々と染め上げる放揚から一転
閃光と同時に轟く
「はね」の衝撃音。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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舞い散る火の粉の余韻を残しながら
辺りはまた静かな闇夜に戻る。

その緩急がまた素晴らしい。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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これぞ、
三河の男の
晴れ舞台なのである。

手筒花火「はね」の瞬間
EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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最後の一本が
ドカンと弾けて

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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闇に火の粉で
大きく「の」の字を描いて
大団円。


素晴らしい手筒花火だった。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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最後に
特製打ち上げ花火の披露。

煙るくらいの大雪が舞う空を
花火色に染め上げる。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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花火を見上げる
豊橋煌炎会の方々。

EOS5D Mark III + EF70-200mm F2.8L IS II USM

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大雪の中を、はるばる長野まで。

素晴らしい花火を
ありがとうございました。



撮影後記

 念願の手筒花火を撮る機会にようやく恵まれました。

 幼少の頃、今はなき祖父に連れられ穂高神社に見に行って以来、数十年ぶりです。

 手筒花火の本場では、神社の祭礼の奉納花火として放揚されることが多いので、今回のような大雪と手筒花火のコラボはけっこう珍しい光景かもしれません。

 手筒花火は、放揚の最中は楽に撮れるのですが、「はね」を撮るのはけっこう難しいです。
 大きな音に驚いて「はね」と同時にカメラも跳ねてしまうと
ブレブレ写真の出来上がりです。
 でも、そのスリルの中で撮影するのがハンティング気分で楽しかったりもするわけです。

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