発端 【ブログ前日譚1】

EOS5D Mark IV + SIGMA 24-70 F2.8 DG OS HSM

 写真を始めたそもそもの発端は、お世辞にも前向きなものではなかった。

 惰性と消去法で歩んでしまった若き日々の代償として、私はさして興味もない職業につくことになった。
 正直なところ、私は仕事の成果が形として残る職業につきたかったのだが、努力も根性も足りず、たちまち道は閉ざされた。
 そして代わりについたその職業は、形を残すのとは正反対の、後に何も残らない、ただ事に当たるだけの仕事が束になったものだった。

 楽しくはなかったけれど、それでも毎日必死に働いた。
 誰よりも早く出勤して、誰よりも遅く帰宅して、誰もいないアパートの部屋でスーパーの見切り品の惣菜を食う。
 倒れ込むように寝るとまた朝になっている。

 ある時、怖くなってしまった。

 このまま、人生が終わっていくんじゃないのか。
 面白くもない仕事に忙殺されて、ただ時間だけが過ぎていき、振り返ってもそこには何もない。
 何もないまま終わっていく人生。
 終わったことすら誰にも気づかれない人生。

 このままでは自分が自分でなくなってしまう。
 これが自分だと言えるものが欲しい。自分が生きたという証が欲しい。

 今なら深刻に考えすぎだとも思うが、当時は本当に切実な問題だったのだ。
 まさにアイデンティティクライシスであった。

 そしてついに、すがるような思いで、私はカメラを手に取ったのだった。

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写真を始めたきっかけとその後の話

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