長野県塩尻市 奈良井宿
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撮影後記
今回、通りに面したすべての照明を消し、ロウソクの灯りに統一するという住民の方々の配慮によって、宿場町は見事な光に包まれました。
ここの皆さんは、いわゆる「火祭り」であるこのイベントの
本当の意義をよく分かっていると感じます。
人工の光がひとつあっただけで、弱いロウソクの炎色はかき消されその魅力を失います。
街の灯りを全部消す、というのは小さな炎の価値をしっかりと見出しているからこそできることです。
実は、この祭の少し前、鹿教湯温泉の「氷灯ろう夢祈願」というイベントに行きました。
温泉街の奥にある仏閣とその周辺に、アイスキャンドルを散りばめるというイベントです。
キャッチコピーには「灯と雪がきらめき夢の世界」などと謳われていました。
歴史ある建造物とアイスキャンドルのコラボレーションを期待して往復100キロの道のりを、意気込んで出かけたのです。
しかし蓋を開けてみれば、それは全くお粗末なものでした。
仄かなロウソクの灯りのすぐ脇には水銀灯やナトリウムランプといったギラギラした人工光が無遠慮に配置され、最も奥ゆかしい雰囲気であるべき仏閣は、馬鹿みたいに明るい白熱灯でライトアップされていました。
あまりの無神経さに、撮影云々よりもまず悲しくなりました。
鹿教湯温泉のイベントは氷灯ろうの催しを標榜しているだけで、
灯ろうのなんたるかなど、これっぽっちも考えていないのは明白でした。
写真は何枚か撮ったものの、到底、ブログに載せる気すら起こりません。
そんなことがあったので、この「奈良井宿アイスキャンドル祭」には尚更期待せずにはいられなかったのです。
そして迎えたアイスキャンドル祭。
奈良井宿の皆さんは、その期待に十二分に応えてくれました。
通りに面した部屋の灯りは全て消し、街灯からは、すべての電球が手作業で取り外されました。
照明を消すことができない自販機には、申し訳なさそうに新聞紙が貼り付けられていました。
そうやって実現した、ロウソクの光だけに包まれた夜の宿場町。
それは、生涯忘れられないような美しい光景でした。
住民の方々の惜しみない努力でこの祭は、その価値を更に高めたことは間違いありません。
今後も是非、続けていって欲しいと願っています。
奈良井宿の皆様、今年も素敵なイベントをありがとうございました。
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