平田浩一・小林義明 氷彫刻特別展示『丹頂鶴』『ペガサス』 ― 国宝松本城氷彫フェスティバル2024【1】

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】

長野県松本市
国宝松本城氷彫フェスティバル2024 特別展示

.

2024年1月26日、
チャンピオンシップ前日。

松本市美術館中庭。

.

_

.

氷彫刻師、平田浩一さんが
特別展示作品として制作した
『丹頂鶴』。

_

.

昨年の『エッフェル塔』から今回は、
平田さんの得意とするモチーフである有翼生物の登場。

平田さん曰く、去年エッフェル塔を作った後、
この場所であれば「鶴」がとても映えるのではないか、
と思ったのだそうだ。

_

.

平田さんの彫る翼は常にこだわりが凄まじく、
空力的に湾曲した翼面まで再現されている。

後ろから見ると、
振り上げた翼のしなり具合がよく分かる。

_

.

脚。
かなり細く、攻めた造形。

_

.

羽根の一枚一枚まで彫り込むのが平田さん流。

_

.

2018年にイタリアで開催され、
平田さんもチームの一員として出場した
CMG(ジェラートワールドカップ)。

ここで平田さんは
この丹頂鶴をモチーフにした氷彫刻を彫り上げ、
世界を驚かせた。

まさに平田さんの真骨頂なのだ。

_

.

今回も平田さんは大会3日前に松本入りし、
1月25日の午後から夜にかけて
単独でこの『丹頂鶴』を彫ったのだった。

_

.

平田さんの氷彫刻としては
一投目からのド直球。

今後の展開に期待が高まる。

_

.

松本市美術館を後にして向かったのは、
女鳥羽川に架かる千歳橋。

昨晩の『丹頂鶴』に引き続き、
今日ここで、
平田さんは次なる特別展示用作品を彫る。

_

.

16時18分。

昼過ぎから制作に着手された氷像が、
強烈な西陽に照らされていた。

_

.

すでに堂々たる馬の造形が見えてきている。

_

.

_

.

氷の馬の足元に
大ノミを振るう平田さんの姿があった。

_

.

平田さんの傍らには、
直筆の設計図。

やはり、ただの馬ではなかった。
その背中には大きな翼。

天駆ける馬、ペガサス。

_

.

平田さんの得意とする
有翼生物のモチーフだ。

_

.

16時30分過ぎ、
気温は3.6℃。

夜になりさらに冷え込むことを考えれば、
まずまずのコンディションだ。

_

.

 

_

.

昨日の『丹頂鶴』は平田さん単独での制作だったが、
今回は2人体制での作業となる。

バディを組むのは小林義明さん。
氷彫刻の各大会では常に、
上位争いに名を連ねる大ベテランだ。

_

.

まもなく17時。
日没時間が迫る。

_

.

氷の馬の胸部に
お湯で温めたアルミ板を押し当てる。

_

.

アルミ板と接した氷の表面が解け、
アルミ板の表面と同等の滑らかさを得る。

_

.

そこに、同様に処理した氷の
平滑な断面同士を密着させる。

_

.

密着させた断面の
僅かな隙間に水を注ぎ入れる。

_

.

隙間に流れた水は
冷気によってたちまち凍り付き
氷同士が接着される。

ペガサスに左前脚が生えた。

_

.

接着面をさらに保護するため、
外周に水で湿らせた細氷(通称:雪)
を塗り込む。

_

.

次に右脚。

_

.

これもあっという間に接着完了。

彫刻と称されるものは数あれど、
制作過程でこれほど大きな部品を
「瞬間接着」するのは氷彫刻だけだ。

_

.

平田さんはすぐさま前脚の彫刻に着手。

_

.

小林さんはペガサスの右半身を担当。

_

.

_

.

次々と持ち替えられる工具が
氷の上を行き来するたび、
角ばっていたはずの氷が
みるみるリアルな生物的造形に変わっていく。

_

.

平田さんの頭の中には
すでに彫ろうとする物の
立体モデルが記憶されているらしく、
CNC旋盤のごとく
驚きの速さと精度で氷を削っていく。

_

.

特別展示にも関わらず
いつになく本気モードな作業が進められている。

【2】に続く

【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【8】【9】【10】