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長野県松本市
国宝松本城氷彫フェスティバル2024 特別展示
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2024年1月26日、
チャンピオンシップ前日。
松本市美術館中庭。
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氷彫刻師、平田浩一さんが
特別展示作品として制作した
『丹頂鶴』。

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昨年の『エッフェル塔』から今回は、
平田さんの得意とするモチーフである有翼生物の登場。
平田さん曰く、去年エッフェル塔を作った後、
この場所であれば「鶴」がとても映えるのではないか、
と思ったのだそうだ。

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平田さんの彫る翼は常にこだわりが凄まじく、
空力的に湾曲した翼面まで再現されている。
後ろから見ると、
振り上げた翼のしなり具合がよく分かる。

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脚。
かなり細く、攻めた造形。

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羽根の一枚一枚まで彫り込むのが平田さん流。

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2018年にイタリアで開催され、
平田さんもチームの一員として出場した
CMG(ジェラートワールドカップ)。
ここで平田さんは
この丹頂鶴をモチーフにした氷彫刻を彫り上げ、
世界を驚かせた。
まさに平田さんの真骨頂なのだ。

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今回も平田さんは大会3日前に松本入りし、
1月25日の午後から夜にかけて
単独でこの『丹頂鶴』を彫ったのだった。

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平田さんの氷彫刻としては
一投目からのド直球。
今後の展開に期待が高まる。

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松本市美術館を後にして向かったのは、
女鳥羽川に架かる千歳橋。
昨晩の『丹頂鶴』に引き続き、
今日ここで、
平田さんは次なる特別展示用作品を彫る。

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16時18分。
昼過ぎから制作に着手された氷像が、
強烈な西陽に照らされていた。

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すでに堂々たる馬の造形が見えてきている。

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氷の馬の足元に
大ノミを振るう平田さんの姿があった。

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平田さんの傍らには、
直筆の設計図。
やはり、ただの馬ではなかった。
その背中には大きな翼。
天駆ける馬、ペガサス。

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平田さんの得意とする
有翼生物のモチーフだ。

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16時30分過ぎ、
気温は3.6℃。
夜になりさらに冷え込むことを考えれば、
まずまずのコンディションだ。

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昨日の『丹頂鶴』は平田さん単独での制作だったが、
今回は2人体制での作業となる。
バディを組むのは小林義明さん。
氷彫刻の各大会では常に、
上位争いに名を連ねる大ベテランだ。

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まもなく17時。
日没時間が迫る。

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氷の馬の胸部に
お湯で温めたアルミ板を押し当てる。

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アルミ板と接した氷の表面が解け、
アルミ板の表面と同等の滑らかさを得る。

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そこに、同様に処理した氷の
平滑な断面同士を密着させる。

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密着させた断面の
僅かな隙間に水を注ぎ入れる。

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隙間に流れた水は
冷気によってたちまち凍り付き
氷同士が接着される。
ペガサスに左前脚が生えた。

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接着面をさらに保護するため、
外周に水で湿らせた細氷(通称:雪)
を塗り込む。

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次に右脚。

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これもあっという間に接着完了。
彫刻と称されるものは数あれど、
制作過程でこれほど大きな部品を
「瞬間接着」するのは氷彫刻だけだ。

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平田さんはすぐさま前脚の彫刻に着手。

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小林さんはペガサスの右半身を担当。

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次々と持ち替えられる工具が
氷の上を行き来するたび、
角ばっていたはずの氷が
みるみるリアルな生物的造形に変わっていく。

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平田さんの頭の中には
すでに彫ろうとする物の
立体モデルが記憶されているらしく、
CNC旋盤のごとく
驚きの速さと精度で氷を削っていく。

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特別展示にも関わらず
いつになく本気モードな作業が進められている。
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