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平田さんの作る翼は
羽の一枚一枚まで彫り込むのが流儀だ。
それも、形式的な羽ではなく、
翼の各部分に生えている羽の特徴までも再現する。
そして、それを猛烈な速さで彫っていく。
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18時52分。

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18時53分。

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18時54分。
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18時55分。
3分足らずで、
翼の継ぎ目は判別できなくなっている。

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風切羽根は
筋彫りで表現するのではなく、
一枚一枚を独立させ、
羽根同士の重なり合いまで再現する。

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羽根の「模様のついた」翼ではなく、
それぞれが独立した「羽根の集合体」としての翼に
平田さんはこだわる。

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だから、羽根の一枚一枚にも
羽毛の流れに沿った筋目を入れていく。

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左翼は小林さんが担当。
平田さんと同等の精度で
羽根の一枚一枚まで彫り込んでいる。

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彫る人それぞれに使う道具や彫り方のスタイルがあり、
それは微妙な造形の違いとなって現れる。
遠くからではわからないが、
翼の左右で風合いが異なる。
これが氷彫刻の面白さの一つでもある。
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19時11分、
小林さんも風切羽根の彫り込みに入る。

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尻尾部分の切削。

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19時16分。
引き回し鋸での表面仕上げ。
細かいノコギリの刃で引っ掻くことによって
いわゆる「毛並み」の風合いを出しながら
表面を滑らかに整える。
氷彫刻においてノコギリは
切るためだけの道具ではないのだ。

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ドリルで各所の線を
さらに尖鋭に仕上げる。
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小林さんがブロワーで
細かな削り屑をクリーニング。

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19時30分、
氷彫刻『ペガサス』
完成。
完成を見越したかのように
気温は氷点下へ。
造形がしっかりと保たれる環境が整った。
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制作時間は6時間超。
特別展示作品としては
オーバースペックすぎる大作だ。
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平田さんは5年前の大会で、
このペガサスをモチーフとした作品を彫って
金賞を受賞している。
ただ、今回のペガサスは5年前のそれに比べ、
造形、躍動感、全てにおいて
格段に洗練されている。
5年前には本戦で彫ったレベルの作品を
前哨戦の段階で彫っている。
それは平田さんがこの5年間で
着実に鍛錬を続けてきたことの証左だろう。
「これで宿に帰って、赤羽目さんと明日の作戦会議ですよ」
本戦でタッグを組む赤羽目さんは
いま東京から一路松本を目指しているという。
すでに水面下で
チャンピオンシップは始まっているのである。
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