平田浩一・赤羽目健吾 氷彫刻『深海のうたげ』 ― 国宝松本城氷彫フェスティバル2024【4】

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長野県松本市
国宝松本城氷彫フェスティバル2024 チャンピオンシップ

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2024年1月27日
チャンピオンシップ当日。

16時。

会場となる松本城公園は
大会に向けた準備の真っ只中。

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16時30分、
開会式。

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16時35分、
予定よりも25分前倒しで競技開始。

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今回平田さんと組むのは
赤羽目健悟さん。

今はなき平田さんの父、
謙三さんに見出され氷彫刻の道に入り、
帝国ホテルの氷彫刻部門を継承、
いまめきめきと頭角を現している 
気鋭の氷彫刻師。
また、凄腕のパティシエでもある。

2023年1月中旬に行われた
第47回 明治神宮奉納全国氷彫刻展で制作した
『夜の踊り子』と題する作品で優勝

今回制作する作品は、
この『夜の踊り子』を大型化し、
さらにアレンジを加えたバージョンだという。

ちなみに、赤羽目さんは
平田さんと初めてタッグを組んだ
2019年の氷彫刻世界大会でも優勝した経緯があり、
チームの戦闘力の高さは
計り知れないものがあると言えよう。

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そして、今回の大会は
これまでと決定的に違う点がもう一つある。

それは、平田さんの役割だ。

これまで、平田さんのチームでは
平田さん自身がデザインした作品を、
平田さん主導で制作するのが常だった。

しかし今回は、
赤羽目さんのデザインした作品を
赤羽目さん主導で制作する。

平田さん曰く、
「作品に関しては赤羽目くんに全て任せて、
自分はフォローという立場で参加します」
とのことだった。

私が平田さんの氷彫刻を初めて見た十数年前、
平田さんは父・謙三さんと組んでこの大会に参加していた。
その頃すでに平田さんは
自分のデザインを自分主導で彫っていた。
そして、その後もずっとそれは変わらなかった。

しかし、今回は、
平田さんがサポート役に回るという。

この先どんな展開が待っているのか。

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設計図をもとに、
氷を切り分ける作業が進められている。

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暮れゆく空に、
照明の光が存在感を増す。

長く、そして短い夜の入口。

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切り分けた氷の積み上げが始まる。

しかし、
今回はいつもと様子が違う。

これまでであれば、
それなりの厚みを持った直方体の氷を
一定の高さに積んでいく工程である。

ところが今回は、
かなり薄く切り出した板氷を
土台の上に立てている。

積み上げるというよりは
「組み立てて」いる。

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これまでの平田さんのセオリーとは
明らかに異なるやり方。

作風の違いは
すでに序盤から如実に現れている。

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今はまだ赤羽目さんの中にのみある作品の全貌を、
ここから二人で具現化していく。

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赤羽目さんがまず取り掛かったのは、
切り出した氷の整形。

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丸く削った氷の中心に
さらに同心円状に刃を入れる。

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丸い芯を残して
周囲を彫っていく。

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外側にも丸みを出していく。

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平田さんは大きな氷の上に
設計図を見ながら筋彫りを施す。

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それをチェーンソーで荒削りしていく。

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六角形の大きな氷。

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鉛筆の角を削る要領で
その角を落としていく。

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みるみる氷が丸くなっていく。

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次に、
車輪状になった氷の角を丸めていく。

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大きな傘型円盤の形が見えてきた。

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赤羽目さんは
制作中の氷の傘に
水を注ぎ入れる。

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傘の内側に付いた細かい切削屑を洗い流す。

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続いて氷の傘に
ドリルでランダムな穴を開けていく。

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その穴を、
さらに広げる。

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平田さんの氷の傘も
丸みを増してきた。

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丸くなったところに、
微妙な凹凸をつけていく。

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18時40分。
観客で沸き返る会場。

「何を作ってるのかなぁ」

そんな言葉が
観客の口をついて出てくる。

【5】に続く

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