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平田さんにタツノオトシゴ(小)などの
原型となる型抜き氷を引き継いだ後、
中寺さんは、本体の背景にあたる部分の彫刻へと移行。
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棒グラインダーで縁の曲線をなめらかにする。
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作業工程としては、
平田さんがまず一部分を加工し、
その塩梅を中寺さんに伝え、
中寺さんが作業を引き継ぐ。
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任せきりではなく、
かといって手取り足取り指示するのでもなく、
「任せるところは相方にしっかりと任せる」
のが平田さんの凄いところの一つだ、と加瀬さんは言う。
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1時20分。
3回目の残氷回収。
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時折、平田さんが全体のバランスを見ながら、
修正すべき箇所を中寺さんにオーダーしていく。
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すかさずそこを中寺さんが修正。
流れ作業で彫刻が進む。
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氷の境界部分に接着が甘い箇所を発見。
すぐに水を注入し、凍らせて補強する。
氷像制作は「彫っていく」のみならず、
こうして脆弱な部分に目を光らせ、
破損を未然に防ぐことも完成への筋道だ。
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1時48分。
平田さんが背景部分に模様を入れ始める。
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三日月型の特殊なドリルビットを押し当てると
氷の表面に半球状の模様が穿たれる。
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そして、模様彫りを中寺さんに引き継ぐ。
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平田さんは、曲線模様の彫刻へ移行。
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平田さんは一筆書きの要領で
いとも簡単そうに整った曲線を描き出しているように見える。
だが実際は、とても高度な作業だ。
力の入れ具合やドリルを動かす速度を適切にコントロールしないと、
曲線はたちまち歪になってしまう。
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1時54分。
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2時。
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平田さんが氷像の裏に回って
ノミを使っている。
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氷像の空洞部分を広げている。
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今回は氷像の各所を空洞にするという「攻めた」デザインで制作しているが、
制作途中からフルに空洞部分を拡大してしまうと、
氷像が自身の荷重を支えきれず倒壊してしまうおそれがある。
ゆえに、全体の彫刻がある程度進んで、
接着した氷が安定し、かつ全体の荷重バランスが取れてから
このように空洞を拡大するのである。
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望遠レンズ越しにちらりと見えた設計図によれば、
向き合った大中のタツノオトシゴに挟まれた部分は、
くり抜かれた大きな空洞としてデザインされていた。
しかし、向かい合ったタツノオトシゴの
腹の部分を繋ぐ氷は、薄く削るにとどまった。
この場所こそ、氷像の中で最もシビアに荷重を受け止める部分なのだ。
制作中の氷像の「支え」として、
最後まで温存されるのだろう。
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2時34分。
背景部分への曲線彫りが終了。
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ここから全体のバランスを見つつ、さらに既存の箇所へ
細かな修正を加えていく。
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中寺さんは、本体の表面処理から
小さな部品作りへと移行。
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3時。
制作終了まで残り2時間。
新たなフェーズに入る。
本体の前に三段重ねのビール箱を置く。
高所作業用の足場である。
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平田さんがこの足場の上に立って、
タツノオトシゴ(大)の胸の辺りに
アルミ板を押し当てる。
氷の接着前に行う、接合面の平滑化処理だ。
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ここで、梯子が登場。
この大会では各チームに、
高所作業のため、梯子2脚と
そこに渡して使う金属製の足場が用意されている。
平田さんはいつもほとんど梯子を使わず、
ビール箱の簡易足場で済ませてしまう場合が多い。
これはかなり珍しい光景だ。
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梯子の間に足場を渡し、設置完了。
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中寺さんが
タツノオトシゴ(小)を運んでくる。
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先程の平滑化処理した部分へ接着するかと思いきや、
苦労して彫り上げたタツノオトシゴの尾を
チェーンソーで一刀両断にする。
平田流氷彫刻の必殺技
「分解組み上げ」である。
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タツノオトシゴの尾は細く湾曲している。
組み上げ時にちょっとでも手元が狂えば
簡単に折れるだけでなく、
折れたパーツが接着場所の高さから地上に落下すれば
間違いなく粉々になる。
意図して分割した氷は後から接着できるが、
粉々になった氷は元に戻せない。
苦労して彫り上げたものだからこそ、
万が一にも破損することがないようにするためのリスクマネジメントだ。
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足場の上に立ち、
タツノオトシゴ(小)を接着。
接合面が小さいので
雪パテを塗り込んで、
コールドスプレーで確実に凍結させる。
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無事接着できた。
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そこに、切断した尾を再接着。
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ここでもコールドスプレーを使う。
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3時23分、
タツノオトシゴ(小)の接着が完了。
作業場に置かれていたときは分からなかったが、
こうして暗い夜空を背景にしてみると
驚くほど生々しい造形で、
精密に彫刻されているのが分かる。
これをたった30分で彫ったのだと思うと溜息が出る。
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さらに、もう1体のタツノオトシゴ(小)が登場。
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3時30分、
タツノオトシゴ(大)の体側に接着される。
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さらに、本体の左肩の部分に
魚の部品を接着。
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熱帯魚「ツノダシ」だ。
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その後、右肩部分と
タツノオトシゴ(中)の背中側にもツノダシが配置される。
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3時45分。
全てのパーツの接着が完了。
タツノオトシゴ4匹、ツノダシ3匹が入り乱れるという
驚きの全貌が明らかになった。
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