平田浩一・藤原康二・加瀬秀雄 氷彫刻 ”虎”~”琉金”【7】

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2匹目の金魚の下、
ジョイント部分に手を入れていく。

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上からの荷重を受け止める部分なので、
慎重に彫り進めねばならない。

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ここにも水草が彫り込まれた。

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全体のバランスを見ながら
金魚のヒレを更に細かく彫刻。

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23時。
台座部分の彫刻に取り掛かる。

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透かし彫りの技法は1匹目の金魚だけでなく、
台座の水草部分にも用いられる。

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氷像の裏側から彫り込むという手の入れようだが、
その代償として、通常ではありえない手数が求められる。

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藤原さんがヒレ作成の手を止め
氷像への氷の継ぎ足し作業を始めた。

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藤原さんが積んだ氷の上に
平田さんがさらに氷を継ぎ足す。

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そして筋彫り。

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作業で出た氷屑「残氷(ざんぴょう)」の回収が入る。
例年に比べ、平田チームの残氷は明らかに少ない。

それは配分された氷を最大限に活用している証拠だが、
一方で、万が一の際の保険となる氷も少ないことを意味する。
いつも以上に、失敗は許されないのだ。

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夜空は晴れ、中天に青い月が浮かぶ。
放射冷却でさらに冷え込むことは確実だ。

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マイナス6℃を下回りつつある。

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お堀の水も凍り始めている。

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金魚の背景部分への彫刻。
再びチェーンソーに持ち替える。

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ノミに持ち替えて、
細かい形を出していく。

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再度チェーンソーに持ち替え。

どこを削っていくのかと思ったら、
チェーンソーの刃を差し入れるようにして
3匹目の金魚の薄い尾ビレの切り出しを始めた。

当然のことながら、
わずかでも無理な刃さばきをすれば、
薄い尾ビレは砕け散る。

見ていて恐ろしくなるような作業だ。

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無事に尾ビレを切り出してホッとしていたら、
ただでさえ薄い尾ビレの表面をチェーンソーで撫でて
さらに薄くしようとしている。

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薄くなったところへドリルで襞を刻む。

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マイナス6℃ともなると、
ドリルで舞い散った氷は
粉状になって全身に降りかかる。

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そして、解けることなく服の上へ積る。
だが、顔に吹き付けた氷は体温で解け、
そこだけびしょ濡れになるという修羅場だ。

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足元に少しずつ溜まっていく残氷が
作業の進捗を物語る。

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そして、午前0時。
残り5時間。

ここから作業の傾向が
がらりと変わる。

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温めたアルミ板で氷の切断面を撫でる。
氷の微細な凹凸が融けて
アルミ板と同等の平滑面となる。

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そこに、同じく表面処理した氷を接着。

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透かし彫りの金魚にもう一箇所接着。

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氷同士を押し付けて、
隙間に水を流し込み
保持すること数秒。

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瞬く間に接着が完了する。

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下向きの面への接着も可能だ。

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接着した氷をすぐに筋彫りする平田さん。

接着直後で強度的に大丈夫なのか心配になるが、
驚くほどしっかり固着している様子。

マイナス6℃という低温環境が効いているのだろう。

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横から見ると、
これまでと比べて今回の作品が
いかに薄くて高いがが分かる。

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依然として、
裏側まで綿密に彫り込んでいる。

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氷を継ぎ足した場所へ
さらに接着面処理。

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やや大きめの氷を接着。
斜めに力がかかる場所なので難しい。

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しかし、難なく接着。
すぐに切削が始められた、が、

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接着した部品の重さとチェンソーからの荷重で
着けた氷が剥がれ落下。

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幸いにも部品の破壊は免れた。
今度は落下した部品をあらかじめ削ってから接着。

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接着に成功。

一つの手法にこだわるのではなく、
刻々と変わっていく状況に合わせて
応用を利かせていくというのも
氷彫制作における肝なのである。

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まもなく午前1時。

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深夜にも関わらず、
観客エリアには
氷彫制作を見守る人々。

10年前には滅多になかった光景だ。

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【8】に続く

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