平田浩一・藤原康二・加瀬秀雄 氷彫刻 ”虎”~”琉金”【1】(国宝松本城氷彫フェスティバル2022)

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長野県松本市 国宝松本城氷彫フェスティバル2022 氷彫刻作品特別展示

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2022年1月21日。

長野県松本市 松本城公園。
二年ぶりに開催される氷彫フェスティバル。

そのイベントの一環として競技前日に行われる
「氷彫刻作品特別展示」。
氷彫刻師、平田浩一さんがそこで氷彫刻を制作する

15時過ぎ、 まだ閑散とした会場に平田さん達の姿があった。
聞けば、いま東京から到着したばかりだという

「それじゃあ、ちゃちゃっと作っちゃいますんで」
平田さんは公園の一角に持参した氷彫刻用具一式を展開すると
すぐさま作業を開始する

明日が本番の「チャンピオンシップ」。
その前日なのだから、 平田さんもあまり無茶はしないだろう。
私も肩慣らしのつもりなので
軽装かつ、予備バッテリーも持っていない。

「ちゃちゃっと」という言葉を 額面どおりに受け取った私は、
せいぜい2時間ほどの作業だろうと高をくくっていた。
しかしこの時、 それが大きな勘違いであることに
まだ私は気付かないでいる。

15:34

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運営スタッフの方(写真右)と 作品設置場所について打ち合わせる平田さん。

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おなじみ加瀬秀雄さん。

世話役として平田さんから絶大な信頼を置かれる存在。
チャンピオンシップには出場しないが、
平田チームの補佐として同行した。

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青い上着をまとうのは
「チャンピオンシップ」でタッグを組む 藤原康二さん。

藤原さんはホテル「ヒルトン東京ベイ」のレストランで調理を担当している。

氷彫刻のキャリアも長く、各大会の常連だ。

15:40

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氷彫刻の序盤は、 氷を積み上げていく地道な作業が連続する。

15:59

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ノコギリで氷柱の表面をクリーニングする加瀬さん。
表面が汚れたまま積んでしまうと 彫刻の内部に汚れが閉じ込められてしまう。

地道な作業だが、 美しい彫刻を作るには欠かせない。

16:00

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氷が高くなってくると 積み上げ作業もより一層大変になる。
この氷柱1本あたりの重量は135キロにもなる。

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氷柱1段あたりの高さは26センチ。
5段で130センチの高さになった

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西陽の赤い光が差し始める。
夜から朝にかけての作業しか見たことがなかったので
こういう光景はとても珍しく映る。

加えて、この西陽を浴びた氷の美しさ。

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5段の氷とは別に 切り分けた氷を積み上げる。

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表面処理。

16:18

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積み上げる前の表面処理で 平田さんは平ノミによる研削を使う。
よく研ぎこまれた平ノミを氷の上に走らせると
そこは一瞬で鏡面仕上げとなる。

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夕日に赤く染まる中での作業。

16:20

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16時の段階で すでに気温はマイナス0.6℃。
氷も緩むことなく硬さを保っている。
ノミで削られた氷が シャリシャリという乾いた音を立てている。

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時折、作業の手を止め 制作方針について打ち合わせをする。
何もかもが張り詰めたチャンピオンシップとは一味違う、
特別な和やかさがある。

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さらに積み上げ。
このシーンの直後、
土台になっている氷柱の一本が倒れた。

100キロを超える氷に直撃されれば ただでは済まない。
今回は、幸いなことに事なきを得た。

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倒れた氷柱をもとに戻し積み直し。
今度は無事に積み上がった。

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藤原さんが積み上げた氷の隙間に ジョウロで水を流し込む。
隙間に入った水は氷結して 氷同士が接着される。

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残照。

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「加瀬さん、この”虎”の字書いてよ」 平田さんから急遽リクエストが入る。
それまで「僕は今回見守る役目なので」と言っていた加瀬さん。
「いいですよー」と二つ返事ですかさず作業に入る。

口では見守ると言いつつも、
常に即応体制を整えているのが加瀬さんなのだ。

今回の大会本戦でも、
この加瀬さんの機転の効いた支援が絶大な効果を生むことになる。

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平田さんの描いた設計図を元に
油性ペンで氷に下描きする加瀬さん。
この技が使えるのは、
気温が低く、氷の表面が乾いている時だけだ。

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平田さんの筋彫りによるデッサン開始。

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2分足らずで描き上げる。

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それぞれの任務を着々とこなす三人。

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制作開始から1時間あまり。 積み上げた氷は いまだ矩形を留めている。

どう見ても、2時間ちょっとで完成に至る進捗状況ではない。

そうしている間にも 足元からジリジリと夜の冷気が忍び寄り、
カメラのバッテリーは徐々に減っていく。

これは大変なことになったな、と思う。

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【2】に続く

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