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長野県松本市 国宝松本城氷彫フェスティバル2023 氷彫刻作品特別展示
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松本市美術館の中庭に
氷でできた
エッフェル塔が建っている。
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国宝松本城氷彫フェスティバル2023における
「特別展示」作品として
平田さんが単独で制作した。

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平田さんは生物をモチーフにすることが
比較的多いので、
こういう建造物の彫刻は目新しく映る。

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様々なバリエーションのある生物と違い、
建造物の彫刻は、
長さの比率や角度がわずかに変わっただけで
造形として破綻してしまう。

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また、エッフェル塔という
よく知られた建造物の彫刻は、
「実物に忠実かどうか」
というジャッジが常について回る。

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作品名によらずとも、
どこからどう見てもエッフェル塔。
こういう見た目だけで人を納得させる氷彫刻には、
平田さんがこれまでに培ってきた技術が
存分に投入されている。

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別の制作現場で、
この「エッフェル塔」の
デザイン画を垣間見る機会があった。
設計図どおりに作られていたのがよく分かる。

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1月27日、金曜日。
氷彫刻の大会「チャンピオンシップ」の前日。
四柱神社横の枡形広場。

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前の晩に美術館の庭で
「エッフェル塔」を彫った平田さんが、
また別の彫刻に取り掛かっている。

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氷彫フェスティバルでは
メインイベントである「チャンピオンシップ」の他にも、
事前にいくつもの氷彫刻が制作され
松本の街を彩る。
平田さんはその任を受けて
本戦の2日前に松本入りして
作品の制作に当たっている。
つまり、三日三晩、氷を彫るのである。

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チャンピオンシップは2名1チームで制作するが、
今回、この展示作品制作は
平田さん一人で行う。

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氷彫刻制作を一度でもご覧になった方はお分かりだろうが、
氷彫刻師は完全に、
「アスリートとアーティストのハイブリッド」
である。
いやむしろ、
アスリート性が勝る印象すらある。
芸術性云々を語る前に、
体力がなければやっていられない世界なのだ。

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12時間不眠不休で氷を彫る本戦の前に、
2基の氷像を、
単独で制作する。
その労力は
想像に余りある。

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まだ世間はコロナ禍から脱却できていない。
今年も平田さんは
マスク姿で氷を彫る。

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午後の早いうちから氷を積み始め、
陽が西に傾く頃に
作品の形が見え始めた。

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16時の時点で気温は1.5℃。
氷点下ではないが、
氷を彫るにはまずまずの環境だ。

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見えてきたのは
生き物の形。

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17時前、
投光機に明かりが点る。

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一部の大会を除いて、
氷彫刻は基本的に
数時間から数十時間をかけて制作される。
本戦前の展示作品制作とはいえ、
昼過ぎから夜まで掛かるのは想定内だ。
しかし、初めて見たときは
「本戦前にここまでやるのか」
と面食らった。

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単独の作業で
最も負担を強いられる氷の運搬。

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氷の密度は
水よりもわずかに軽い、
約0.917g/cm3(0℃)
である。
つまり、10センチ角の氷は917グラム、
1メートル角の氷は1トン近い重さになる。
氷は
見た目の印象よりも
ずっとずっと重いのだ。

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17時過ぎ、
彫り上げた生き物の頭が
積み上げた氷の上に載った。

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辺りは完全に夜になった。
明日の今頃は
本戦が始まっているはずだ。
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