長野市 112回 長野えびす講煙火大会(11/23)「全国十号玉新作花火コンテスト」
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10号玉花火。
旧称、一尺玉。
打ち上げ高度 330メートル。
開花時の直径 約300メートル。
開花時間 数秒。
煙火師は
直径30センチ、重さ約9キログラムの花火玉に
長大な時間と、血の滲むような労力を注ぎ込んで、
夜空を焦がす、数秒間の光のドラマを演出する。
この10号玉は、古来から連綿と受け継がれてきた
日本の花火技術の集大成であると同時に、
未来の花火への出発点でもある。
この「全国十号玉新作花火コンテスト」は
全国に名だたる煙火師15名が
その持てる技術の粋を結集し挑む、
打ち上げ花火の競技会だ。
打ち上げられた花火は、
「開き方」「形」「光り具合」「変化」「色彩」に加え、
「安全性」「独創性及び芸術性」
が総合的に審査される。
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『光彩黄金華』
小口煙火(長野県諏訪市)
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『虹色のグラデーション』 優秀賞
齊木煙火本店(山梨県市川三郷町)
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明るく白く尾を引く親星の間を
鮮やかな七色に輝く小星が彩る。
小星の色彩は、時間とともにグラデーションしていく。
見るものをハッとさせる見事な演出で優秀賞(2位)を受賞。
一昔前では考えられなかったような微妙な色合いが
高輝度かつ高彩度で出せるようになっている。
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『天空に咲く桜花美人』
ホソヤエンタープライズ(東京都あきる野市)

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『昇曲導付三重芯イロドリノ華』
篠原煙火店(長野県須坂市)
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盆(ぼん=花火が開いた時の形)が美しい丸さを保つ。
芯(内側の光輪)がやや乱れてしまったのが惜しい。
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『花火宇宙船一号未来旅』
イケブン(静岡県藤枝市)
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「花火は丸く開くもの」という概念は
すでに崩れ去りつつある。
花火玉の中に立体的な構造を組み込んで
その造形を保ったまま開かせることが
可能になってきた。
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『希望の花』
新潟煙火工業(新潟市)
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『冬景色』
関島煙火製造所(長野県飯田市)
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和火(わび=木炭燃焼の赤橙色)
と白色の大葉でまとめられた上品な花火。
冠菊(かむろぎく=尾を引いて長く垂れる開き方)の最後に
光露(こうろ=消え際にぱっと瞬く光)が入っていたのだが
ピントを外してしまって撮れなかった・・・反省。
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『八重二度咲きの花』金賞
菅野煙火店(福島県川俣町)
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二重の芯が入って全体で三重の同心円を描く
「八重芯(やえしん)」。
ほぼ真円な盆、
その中には形の崩れないしっかりとした芯が入る。
赤色の盆が一旦消えると見せかけて、
青色の盆となって「二度咲き」する。
星の明滅のタイミングも揃っており、
まさに多重芯玉のお手本といった出来栄え。
堂々の金賞(3位)を獲得した。
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『晩秋の寂び菊』
山内煙火店(山梨県笛吹市)
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金色の星だけで構成した
潔い菊花火。
消え際も美しい。
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『モーショングラフィックス』球わかば推薦
太陽堂田村煙火店(長野県茅野市)
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惜しくも入賞はのがしたものの、
今回のコンテストで私が一押しするのは
間違いなくこの「モーショングラフィックス」。
芯なしの牡丹花火で、
開き方こそベーシックだが、
やっていることが凄まじい。
花火が開いている4秒ほどの間に
様々な光の帯が、盆の上を駆け回る。
その名のとおり、まさに動く絵。
実空間に物理的に展開されている花火なのにも関わらず、
CGを見ているような錯覚にすら陥る。
かつて花火は、「すべての星をいかに同時に明滅させるか」
というのが至上の命題だった。
だから花火の出来は、
いかに均質な星を沢山作れるかにかかっていた。
しかし、花火はすでに
次なる世代に突入している。
花火を構成する一つ一つの星は
モニタを構成する画素のように
それぞれ全く別のタイミングで色を変え、
花火全体に色彩の波紋を幾重にも描き出す。
そのために煙火師は、
それぞれの星をすべて個別に設計し、
数十分の1秒の精度で色を変えるよう製作、
かつ、それらの星を玉内の
所定の位置に寸分の狂いもなく並べなくてはならない。
凄まじい根性と執念と集中力がなければ
こんな花火は作れない。
素晴らしい花火を見せてもらった。
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『光のプースカフェスタイル』
響屋大曲煙火(秋田県大仙市)
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こちらも「モーショングラフィックス」と同じく、
星を連携させる超絶技巧花火。
「プースカフェ」とはカクテルの形式の一つで、
グラスの中に、色とりどりの酒が層をなすスタイルだ。
開花と同時に、白色のカクテルグラスが展開した後、
その間を、色星が層をなして移動していく。
これもまた、
情熱と執念に裏打ちされた
高度な技術の結晶たる花火だ。
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『信濃の花車』
丸玉屋小勝煙火店(東京都府中市)
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『煌めきの朧柳』
伊那火工堀内煙火店(長野県飯島町)
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金色を基調とした冠花火。
和火の親星を使った冠菊の間を
金色の点滅星がまばゆく華を添える。
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『モノクロームの煌華(おうか)』最優秀賞
菊屋小幡花火店(群馬県高崎市)
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和火による大輪の冠菊。
最初、芯に金色の点滅星が控えめに散りばめられるが、
その後は和火の穏やかな炭火色が
静寂の中に展開していく。
そのまま夜空に溶けていくと思いきや、
冠菊の最後に鮮やかな光露が煌めいて
有終の美を飾る。
そのドラマ性の高さが光る。
見事、最優秀賞を受賞。
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『夕暮れ模様』
筑北火工堀米煙火店(茨城県桜川市)
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これは紛れもなく
夕陽の赤。
盆全体が夕焼け空で
芯が沈みゆく夕陽のようにも見える。
色合いが素晴らしかった。
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撮影機材
EOS5D Mark IV
EF35mm F1.4L USM + ソフトン(A)
※アニメーションGIFは連続撮影した写真をPhotoshopで合成
(アニメーションGIFはスマホだと上手く動かない場合があるかもしれません。PCでは動作確認済みです)
撮影後記
日本の打ち上げ花火技術は世界一だ。
1発の花火の中にこれほどの技術を詰め込んだ花火は諸外国に存在しない。
そして、日本の花火を世界一足らしめているのはこの10号玉であると言っても過言ではないと思う。
10号玉単発打ちは、「俳句」の世界だ。
直径30センチの紙製の球体に煙火技術の粋を注ぎ込み、数秒間の光の中に世界を表現しようとする10号玉花火。
それは、日本語の持つ力を巧みに組み合わせわずか17音の中に、光景情景を封じ込める俳句と似ている。
たった17音の言葉の連なりが、読者の心に鮮烈な印象と余韻を残すように、10号玉が追求するのもそういう世界観ではなかろうか。
長大な叙事詩のようなスターマインが隆盛を極めるようになった今日でも、歴代の俳人が残した名句と同様に、10号玉の輝きが失われることは決してないだろう。
そして10号玉は伝統の技術を継承するという「古典」の場であるのと同時に、未来の花火を創造していく「最前線」でもある。
今回のコンテストではそれぞれの花火師が、いかに新しいものを創り出そうと日々努力しているかが、熱気を持って伝わってきた。
これからも、日本の花火がもっともっと面白くなっていくのは
間違いなさそうだ。
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