長野県大町市 平
.
前回の撮影は2021年1月。
それ以来2年近く会えていなかった。
生息地に何度も足を運んだが、
足跡ひとつ見つけられなかった。
何らかの事情で、
縄張りを出ていったか、
最悪、死んでしまったのでは、
とさえ思った。
でも、この日、
もしや、という
妙な胸騒ぎを抱えつつ
いつもの場所へ。
ダメ元と思いながらも
歩き回っていると、
厚く積もった落葉の上に
まだ新しい
足跡らしき窪みを見つけた。
それは上の方へと向かっている。
足跡を辿る。
木立の中から、
風によるものとは違う
ガサガサという
かすかな音。
ついに見つけた。
冬枯れの藪の中、
僅かに残ったアケビの葉を食べている。

.
.
冬が深まるほど
緑が少なくなっていくから、
食糧探しも
日々難易度を増していくのだろう。

.
.
人間が近くにいると分かっていても
落ち着き払って飯を食う、
そのクソ度胸が健在でほっとする。
食べ終わると、
ゆっくりと歩きはじめる。

.
.
通りがかりの小枝に
鼻を近づける。
匂いを嗅いでいるようだ。

.
.
するとおもむろに
小枝に顔を擦り付ける。

.
.
眼下腺からでる分泌液でのマーキング。
匂いで縄張りを主張するための行動。

.
.
気が済むまで
何度も擦りつける。

.
.
この時期の縄張りの確保は
食糧調達の成否に直結するから
おろそかにはできないのだろう。

.
.
いつになく
念入りに見える。

.
.
歩いては食べ、
そしてマーキングし、
それをずっと繰り返す。

.
.
そしてまた
ゆっくりと歩き始める。

.
.
カモシカは好き勝手に
山の中を歩いているように見えるけれど、
実はだいたいの「巡回路」が決まっているみたいだ。

.
.
巡回路はいわゆる「獣道」になっていて、
周囲の草はいち早く食べられ
見通しが良い。
そしてなにより、
斜面の最も歩きやすい部分を
彼らは巡回路にしている。
試しに彼らの後についていくと
急斜面でも
拍子抜けするくらい楽に歩ける。
さすが山のエキスパートなのだ。

.
.
そしてまた立ち止まって匂いを嗅ぐ。

.
.
そしてマーキング。

.
.
どんどん山の中に入っていく。
歩きやすい獣道でも
機材を背負ってついていくのが難しい。

.
.
こちらにはお構いなしとおもいきや、
ふと立ち止まる。

.
.
久しぶりに変なのがついてきたことが
少しは気になるみたいだ。

.
.
だがそれも続かず、
やがて「まあいいか」という感じで
また歩きはじめる。
やっぱり肝が据わったカモシカだ。

.
.
もう二度と会えないかもしれないと思っていたから、
会えただけでも本当に良かった。

.
この冬は
森に足を運ぶ楽しみができた。
.
.
タグ「ニホンカモシカ」の関連記事
- 雄のニホンカモシカ ― 撮り初め2023
- 生存確認、ニホンカモシカ
- ニホンカモシカ、冬を越えて
- 大雪のニホンカモシカ
- 見知らぬニホンカモシカ
- ニホンカモシカ、冬から春
- 暖冬のニホンカモシカ
- 初冬のニホンカモシカ
- 夏の森のニホンカモシカ
- ニホンカモシカとニホンザル ― 春の雨
- 冬のニホンカモシカと恋の考察。
- ニホンカモシカの親子と夫婦
- 再会、ニホンカモシカ ー ポートレート
- 追跡、謎のニホンカモシカ
- 二頭のニホンカモシカ
- サルとカモシカとニホンリスに会った。― 撮り初め2016
- ニホンカモシカ ― 冬来たる
- つがいのニホンカモシカ
- 雪山のニホンカモシカ
- ニホンカモシカ、興味津々
- 大町市「中山高原」の蕎麦の花とニホンカモシカ