長野県大町市
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2020年12月19日。
昨シーズンとは比べものにならない
寒い冬の到来。
カモシカの住む森も
早々に雪に覆われている。
彼らの安否確認を兼ね
いつものポイントへ。
白い景色の中に佇む
1頭のカモシカ。
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すでに膝までくらいある雪をかき分け
ゆっくりとカモシカの方へ。

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こちらに気づいているが
逃げない。

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こちらの様子を
窺っている。

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顔がはっきりわかる。
あの歪んだ角。
カモシカの角は一生伸び続ける。
木や貝殻と一緒で、
1年に1本「角輪(かくりん)」が刻まれていく。
角輪の間隔や角の太さの変動は
そのまま彼らの生きてきた証となる。
この歪んだ角から見ても、
このオスは幾度となく厳しい局面を
くぐり抜けてきたはずだ。

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カモシカは外見から雌雄を同定するのが難しい。
でもこの個体はある理由からオスだと確定している。
彼と正対してしばらく眺めていたら、
余裕の表情で反芻
(はんすう=胃に収めた食物を再度咀嚼)
を始めた。
くそ度胸のカモシカなのだ。

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反芻の途中でシャッターを切ると
なんとも変顔に写る。
横を向いたら
彼の頭の上に雪が乗っていた。

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流し目をすると
そこそこのイケメンだ。

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とはいえ、
美形と言うよりは
愛嬌のあるオッサンカモシカである。

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今年は色恋沙汰がないのか
辺りにメスの姿はなかった。

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12月28日。
全く別の場所で
以前、前述のオスと一緒にいたメスを見つけた。
前は仔カモシカと一緒だったが、
流石にもう子離れしている。

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歪み角のオスと違って
人間への警戒心が強い。

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近づけたのは
これが限界。
しかし、生存確認できてよかった。

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同じ日、
さらに別のポイントへ。
雪が降ると山の中は歩きづらいが、
カモシカの足跡を発見できるので捗る。
カモシカがいつ頃どちらの方向に行ったのか
足跡から判別できる。

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足跡の向かった先、
斜面にカモシカを発見。

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この辺のカモシカ特有の
白毛の顔。

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以前に見たことのある顔。

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ゆっくりと斜面を登っていく。
こちらも距離をとって後に続く。

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高台に陣取って、
こちらを見下ろす。

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超望遠に付け替えて
顔を拡大。

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最も古い顔見知りのメスとよく似ているが
角の形状が微妙に違う。
「同性の縄張りは重複しない」という原則に従えば
おそらくオスだろう。

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端正な顔立ち。

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こちらを見下ろすカモシカには
神々しい威厳がある。
山の主という言葉が似合う。

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この個体もくそ度胸のカモシカだった。
やはり私の目の前で
食事を始める。

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冬になると、
彼らの主食である緑の葉っぱがない。
だから、部分的に食べられる植物質を
一生懸命探して食べる。
この日の食事は
細い蔓草。

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食事の最中、ベロを出す。
カモシカの舌は灰色なのだった。

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カモシカはあちこちの蔓草をつまみ食いながら
藪の中へ消えていった。
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年が変わって
2021年1月3日。
さらに雪が降った。
山の中は遍く膝丈以上の積雪。

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こういう深い雪の中でも
カモシカは動き回る。
動き回らなければ
飢えて命を落とすから
動くしかないのだ。

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斜面の上の方に続く、
カモシカの足跡。

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その先には、
以前よくカモシカが休憩していた
高台のテラスがある。
最近はめっきりそこにいるのを見ていないが、
もしや、と思い覗いてみる。
すると、
いた。

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見知らぬ幼いカモシカだが、
あれ、胴体が長いな、
と思ってちょっと回り込むと、
最古参のメスカモシカを発見。
生存確認できたばかりか、
またもや子連れなのだった。

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先程の足跡が一列だったことから、
母親がラッセルした後を
仔カモシカがトレースしてきたのだろう。
深い雪は仔カモシカの命を奪うこともあるから
母親はそのへんにも気を使うのだろう。

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角から見ても
まだまだ幼い。

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体中に降り積もる雪を
払い落とす母親。

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すでに去年とは明らかに違う
冬らしい冬が来ている。

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さらに寒さが猛威を振るうおそれが高い。
そんな予報も出ている。

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野生の強さが
試される冬になる。

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人間界も今年は特に大変なんだけど、
君らも本当に大変だ。

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お互い、
頑張って生き延びよう。
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明けましておめでとうございます。
今年も素敵な画像を楽しませていただきます。
消毒マミレ・マスクの人間界と、雪のカモシカ界と、どちらが大変なのでしょうか?
どちらもご自愛くださいですね汗
今年もよろしくお願いします。
かのうまさお さん
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
人間もカモシカも、ある意味「命がけ」の冬になるんではないでしょうか。
カモシカはだいたい30年くらい生きると言われてますが、今年の冬は親カモシカでさえ初めて経験するような厳しいものになるような気がします。
カモシカは厳しい冬に向けて粛々と命をつないでいますが、人間界は緩みまくっているので心配です。
一日も早く日常が戻ってくることを祈るばかりです。
かのうさんもどうかご自愛ください。