自宅の庭にて
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今回は、
セミの羽化に関する
リアルな記録です。
昆虫嫌いの方はご遠慮ください。
でも、
かなり美しく撮れていると
手前味噌ながら思います。
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自宅の庭。
桜の木の根本にこの夏、
いくつもの穴が出現した。
この穴、
セミの幼虫が這い出してきた穴なのだ。
セミの幼虫は
卵から孵ってすぐに地中へと潜り、
木の根から養分を吸収して成長する。
その期間はおよそ6、7年と言われている。
「言われている」というのは
彼らが地中生活者であることと、
飼育が難しいことなどから、
まだ彼らの地中での生活が
よく分かっていないからなのだ。

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午後9時過ぎ。
庭を見に行ったら
コンクリートの犬走りの上を
ヨタヨタ歩いている
セミの幼虫を見つけた。
その先に登れる場所はないよ、と
傍らに落ちていた桜の小枝を差し出すと
セミの幼虫は
「あ、登れる場所あった」
とばかりに
桜の枝につかまる。
そしてそのまま、
羽化の態勢に入ってしまった。
せっかくなので、
撮影させてもらうことにする。

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羽化直前の幼虫。
セミの俊敏さは微塵もなく、
とにかく動きが遅い。
何をやるにもノソノソしている。
しかし、
よく考えてみればそれも無理はない。
茶色い外殻の下にはもう、
セミの身体が入っている。
人間で言えば
宇宙服を着て歩いているようなもので、
動作が緩慢になるのも仕方ないのだ。
午後9時50分。
枝の中ほどで
幼虫が動きを止める。
時折、身体を縮めたり
伸ばしたりを繰り返す。

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午後9時55分。
羽化開始。
背中が割れ、
セミの身体が現れる。

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午後9時57分。
背中の割れはさらに拡大。

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午後10時。
背中の割れ目から
少しずつ
セミの身体が押し出される。
美しいヒスイ色。

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午後10時3分。
眼が現れ始める。

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午後10時4分。
1分ほどで眼の部分が
脱皮完了。

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10時5分。
上半身を脱皮し、
さらに脚を抜きにかかる。

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午後10時7分。

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午後10時10分。
上半身が殻から大きくせり出す。
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体側には伸張前の羽が見える。

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午後10時17分。
尾を残し、
のけぞるような姿勢で
動きが止まる。
そして、
じっとしたまま
動こうとしない。
羽化は失敗か。

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のけぞったまま15分が経過。
午後10時32分。
突然、驚異の腹筋力で身体を起こし、
自分の抜け殻につかまる。
羽化は失敗してはいなかった。
よく考えてみれば、
殻から抜いたばかりの脚は
まだ柔らかく強度が足りない。
彼はのけぞった姿勢のまま
脚が固まるのを待っていたのだ、
と気づく。
誰かに教えられることもなく、
こういう複雑な手順を踏むセミに
感心する。

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午後10時33分。
脚でつかまった時点で、
残っていた尾部分を殻から抜き去る。
殻からぶら下がった状態になると、
すぐに羽の伸張を始める。
翅脈(羽の筋)に体液を送り込んで
羽をまっすぐ伸ばしていく。

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午後10時36分。
羽が開いてくる。
殻の中に
あれほど小さくたたまれていた羽。
もう少しゆっくり広がっていくのだと思ったら
かなりのスピードなのだ。

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午後10時37分。
前の写真から1分後。
明らかに羽が伸びている。

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午後10時39分。

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午後10時41分。
羽の伸張がほぼ終了。
羽の表面には
薄っすらと畳みジワが見える。

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逆光で撮影。

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午後10時45分。
動かなくなる。
脱皮したてで
全身がまだ柔らかく
飛び立つことはできない。
このままじっとして
身体の強度が高まるのを待つ。

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午後11時7分。
前脚だけで殻からぶら下がり、
他の細い脚は空中に泳がせている。
これも強度確保の一環だろう。

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午後11時35分。
羽の透明感が増している。

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前脚でしっかりと殻を掴んでいる。

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午後11時39分。
殻から枝に移動。
脚の強度も
高まってきたようだ。

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午後11時40分。
脱皮開始から110分。
体の模様から
ヒグラシであることがわかる。
夏の夕暮れ、
あの物悲しい声で
カナカナとなくセミだ。
羽化したてのヒグラシの
このヒスイ色は本当に美しい。

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撮影はここで終了。
庭の片隅に
枝ごとそっと移した。
明日の朝には
身体が固まって
飛べるようになるだろう。
翌日、
桜の小枝には
抜け殻が残されていた。
殻の主は
もういなかった。
それでも抜け殻は
しっかりと枝を掴んで離さなかった。

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→ 第二弾「セミの羽化を撮る ー 2【アブラゼミ】」はこちら。
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あとがき
初めて、セミの羽化を目の当たりにしました。
我が家の庭は本当にセミが多く発生して、
朝になると桜の枝にセミの抜け殻が沢山ついているので、
いつかは羽化をちゃんと見てみたいと思っていましたが、
意外と早く実現しました。
子供の頃はもう昆虫少年でしたが、
こんなに虫をつぶさに観察することは久しぶりで、
忘れていたワクワク感を味わいました。
小さな虫ですが、
生きていくための知恵とか力強さがあって
感心させられました。
そして、とにかく
あのヒスイ色が美しく、
美術品のようでした。
こうやって
長い地中生活の末に地上に出てきたセミも、
羽化直後に鳥の朝ごはんにされてしまうのもけっこういて、
なんともやるせない気持ちになります。
鳥だって必死に生きているので
仕方はないんですが。
自然の中で休むことなく繰り返される、
そういう「命のやり取り」を
人間は都合よく忘れてしまっているのかも、と思います。
小さなセミが生きる姿に
そんなことを考えたりしました。
ー 続編 ー
セミの羽化を撮る ー 2【アブラゼミ】
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初めまして。貴方様の写真が好きで、ちょくちょく見て楽しんでいます。
セミの写真、綺麗です。
素敵だったので、自分のブログにこちらの記事の紹介をさせてもらいました。
犬塚しの さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
PCに触れない日が続いておりまして、お返事が遅くなり失礼しました。
このブログを紹介いただきありがとうございます。
10年間エキサイトブログで積み上げたものを一旦リセットして、次の10年に向け再構築を続けています。
けっこう孤独な作業で、エキサイトブログの時のような「お隣さん」的存在もいなくなってしまったので、ちょっと心細いなか、新たにリンクして頂いたことは本当に嬉しかったです。
これからも地道に写真を撮っていきたいと思いますので、またご覧いただければ嬉しいです。
写真も文も素敵です。
命あるものは全て美しいです。
ちあきさん
コメントありがとうございます。
いつも見ている何気ない庭の片隅で、こんな生命のドラマが毎晩行われていると知って私も驚きました。
手のひらに乗るような小さい命ですが、外敵に対して全く無防備になることを覚悟して粛々と姿を変えていくセミの脱皮を見ていると、生きるということの壮絶さを感じずにはいられません。
こんにちは。はじめてコメントさせていただきます。
私は保育園で昆虫教室などを行なっているものです。
撮っているセミのお写真があまりに素晴らしいので、もしよろしければ、私の園内で子どもたちに見せて、それから本物を近くの公園で見に行きたいと思っております。
もしよろしければ、共有させていただきたいと思います。
ご検討の程よろしくお願いします。
垣内貴裕さん
こんにちは。コメントありがとうございます。
お問い合わせの件、どうぞお使いください。
大変励みになります。
TamaWakaba(球わかば)様
ありがとうございます。
早速職員にも見せたところ、普段虫が得意ではない人たちも本当に美しいと、感激していました。
初めまして、初めてこのブログを見ましたが、
とても綺麗な写真ばかりで感動致しました。
セミの羽化をかきたくて調べていたのですが、
こちらのブログのお写真を描かせていただきたいです。
ご検討よろしくお願い致します。
ゆう さん
初めまして。コメントいただきありがとうございます。
写真の件、どうぞお使いください。
羽化するセミの美しさを共有していただけて、とても嬉しいです。