長野県大町市
.
カモシカに会えるかも、という
胸のざわめきがどうにも収まらなかったので
山の中をあちこち探し回ったが、会えず。
おかしいなと思って帰路につこうとした時、
いままで見たこともない場所で、
見事な体躯の成獣に会う。
でかい。
.

.
.
.
立派な角。
カモシカの角は生え替わることなく
一生伸び続ける。
角の根元にある細い溝(角輪)が
1年に1本ずつ刻まれていく。
一見しただけでも
かなりの重鎮。

.
.
.
約半年ぶりの遭遇だったので、
私も勘が鈍っていて、
重大なミスをしてしまった。
400ミリのレンズなのに
カモシカを大きく撮ろうと思うあまり
ちょっと間合いを詰めすぎてしまった。
突然、カモシカが身構えて
「シュッ!」
という、スプレー瞬間噴射みたいな音を出す。
カモシカの警告音。
初めて聞いた。

.
.
.
カモシカは警告音を出して
「お前はこっちに来るな!」
と威嚇する。

.
.
.
驚かせてしまって申し訳ない。
ここは一旦500ミリに付け替えて
距離を取って見守ることにする。

.
.
.
が、しかし、
すでにカモシカの怒りには
火が着いてしまっていた。
傍らの立木に顔を擦り付けてマーキングを始めた。
と思ったのだが、
よく見るとマーキングではなく
角を研いでいる。
「てめーこの研いだ角でどつくぞこのやろ」
という感じ。

.
.
.
そして、この顔。

.
.
.
この眼光。

.
.
.
瞳孔と鼻の穴が開いている。
わかりやすい怒りの表情。
これはまずい。

.
上の写真の直後、
カモシカは私に向かって突進してきた。
私が慌てて後ずさると
カモシカは5、6メートル突進したところで踵を返して
遠ざかっていく。
そこでボケっと突っ立ったままでいたり、
さらに間合いを詰めたりしたら
あのロングホーンの一撃を食らっていたかもしれないと思ったらヒヤリとした。
カモシカはこうやって怒ることもあるけれど
基本的に好戦的な動物ではないので
こちらが礼を失しなければ大丈夫である。
(と思いたい)
いずれにしても、今回は
全面的に私が悪かった。
.
.
去っていくカモシカ。

.
.
.
最後に私を一瞥する。

.
.
.
そして、駆け出す。
怒っていたけど、本当は怖かったんだろう。
ごめんよ。

.
.
.

.
.
.
そして山へ。

.
カモシカとの付き合いにもやっぱり礼儀は必要だ。
まずこちらが冷静になって
不用意に相手の領分を侵さないこと。
久々の撮影で
そんな教訓を得た。
.
.
.
さっきの怒ったカモシカが
たまに背後の林をチラチラ振り返っていたので
もしやと思って見ていたら、現れた。

.
.
.
おそらく、2年目の仔カモシカ。
高貴な顔立ち。

.
.
.
首元の白い襟巻きが特徴的。

.
.
.
かっこいいカモシカに成長しそうだ。

.
.
.
親離れももうすぐだろう。

.
.
.
遠くの斜面を見ると、
つがいなのか親子なのか、
2頭のカモシカが
のんびり寝そべっていた。
平和な光景だ。

.
.
.
4日後。
前回とは違う場所で2頭のカモシカを発見。

.
.
.
親子に間違いない。

.
.
.
今回は礼を失しないよう、
1000ミリにして
静かに近づく。
するとやはり動じることなく、
泰然と構えるカモシカ。
こういうところが好きなんだよなぁ。

.
.
.
どっかり地面に座って
こちらを見ている。

.
.
.
下から見上げるカモシカも
威厳があってとてもいい。

.
.
.

.
.
.
妙に母親らしい表情に写った。

.
.
.
光の当たり具合によって
野生の凄みが増す。

.
.
.
右耳は私の出す音を聞いている。
左耳は背後からの音をチェックしている。
100%警戒中は両耳がこちらを向くので、
片耳が違うほうに向き始めたのは
「なんとなくこいつは大丈夫かな」
と認識され始めた証拠。
とはいえ、礼は失せず。

.
.
.
仔カモシカ。
まだ顔にあどけなさが残る。

.
.
.

.
.
.
ちらり。

.
.
.
正面からだと
ずいぶんと優しい顔をしている。

.
.
.

.
.
.
口をもぐもぐさせるタイミングで撮ったら
ちょっと笑顔に写った。
にっこり。

とても素敵な親子だった。
.
.
.
そのまた4日後。
同じ場所に
同じ親子がいた。

.
.
.
また変なやつが来た、と
こちらを注視する。

.
.
.
仔カモシカ。
この日はなんだか元気が有り余っているのか
はしゃいでいる。
母親の周りを走って行ったり来たり。

.
.
.
少しずつ近づく私を見て
林の奥へ一目散に走って行くが、
また走って戻ってきて
私のことをじっと見ている。
やがて私に見飽きたのか、
また跳ねるようにして
母親の方へ走っていった。
やっぱりカモシカは
好奇心の動物なのだと思う。

.
.
.
ずっと撮りたかった1枚。
これぞ親子というツーショット。

ちなみに、左側の木についた傷は
母親による角研ぎの跡。
カモシカが存在するサインの一つ。
これが一緒に写り込んでくれたのはさらにラッキーだった。
.
.
.
子供はやはり
まだ甘えん坊。

.
.
.
母親の愛情を一身に受けている。

.
.
.

.
.
.
親子はまた
森の奥へと去っていく。

.
これから長い冬。
大変だけど、
どうか幸せに。
.
.
タグ「ニホンカモシカ」の関連記事
- 雄のニホンカモシカ ― 撮り初め2023
- 生存確認、ニホンカモシカ
- ニホンカモシカ、冬を越えて
- 大雪のニホンカモシカ
- 見知らぬニホンカモシカ
- ニホンカモシカ、冬から春
- 暖冬のニホンカモシカ
- 初冬のニホンカモシカ
- 夏の森のニホンカモシカ
- ニホンカモシカとニホンザル ― 春の雨
- 冬のニホンカモシカと恋の考察。
- ニホンカモシカの親子と夫婦
- 再会、ニホンカモシカ ー ポートレート
- 追跡、謎のニホンカモシカ
- 二頭のニホンカモシカ
- サルとカモシカとニホンリスに会った。― 撮り初め2016
- ニホンカモシカ ― 冬来たる
- つがいのニホンカモシカ
- 雪山のニホンカモシカ
- ニホンカモシカ、興味津々
- 大町市「中山高原」の蕎麦の花とニホンカモシカ