【F15機動展示】【救難展示】【飛行教導群】【ブルーインパルス】
石川県小松市 航空自衛隊小松基地 小松基地航空祭2016
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航空祭当日は朝から厚い雲が垂れ込め、
小雨が降ったり止んだりを繰り返す。
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午後になってもその状況に変化はない。
ブルーインパルスは飛ばないかも、
と誰しも思い始めていた。
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しかし、なんとブルーインパルスがエンジンスタート。
この天候にも関わらず、飛ぶらしい。
会場が色めきだつ。
離陸に向け、活発な無線交信が行われる中、
ブルーコントロール(ブルーインパルスの地上管制局)から
「東北東方向に雨雲のレーダー反応があるので、5番機を先に上げるように」
という旨の指示が入る。
通常、ブルーインパルスは
1から4番機が先に編隊離陸した後、5,6番機がペアで離陸する。
5番機が先に離陸するのは、
「ウェザーチェック」を行うということだ。
ブルーインパルスは密集した編隊を組む時、
隣り合う機体との翼端間隔は約1メートルほどにも狭まる。
その時、きわめてタイトなポジションの保持を、
パイロットは目測で行っている。
それは、わずかでも操縦を誤っただけで空中衝突を免れない状況である。
ただでさえ精密な機体操作が要求される場面で、
もし編隊が雲中に突入してしまえば、
パイロットは完全に視界を遮られ、
間隔の保持はおろか、自機の位置すらわからなくなってしまう。
その上、複数の機体が密集している状況だから、
即座に衝突防止のブレイク(編隊の散開)をするということもできない。
ゆえに、ブルーインパルスにとって何より大事なのは、
自他ともに「見えていること」であり、
展示飛行を実施するにあたっては
「視界を阻む雲の有無」になにより神経を尖らせるのだ。
そして、5番機が単独で離陸。
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飛び立った5番機は、基地上空と周辺空域を周回し
シーリング(≒雲底高度)をチェックする。
結果、基地上空の雲は切れているものの、
周辺空域は地上高1800~3000ft(フィート、約550~915メートル)
の雲に取り囲まれている、と5番機からレポートが入る。
ブルーインパルスの飛行展示では
気象状況や視程によって、
演じられる課目が決まっており、
それらは「区分」というセットにされている。
例えば、「バーティカル・クライム・ロール」や
「バーティカル・キューバン・エイト」など、
垂直系の課目が含まれる「第1区分」は
「シーリングが地上高1,0000ft(約3000m)以上」が実施の条件である。
続く「第2区分」ではシーリングが7000ft(約2100m)以上、
「第3区分」では5000ft(約1500m)以上、
「第4区分」では3000ft(約900m)以上
であり、区分が下がるにしたがって、高度変化が伴ったり、
機体をロールさせるような演目がカットされていく。
そしてこの時、隊長機である1番機からコールされたのは
「第5区分」。
辛うじて視程5km、シーリング1500ft(450m)が確保できた場合に実施する
「航過飛行(編隊での上空通過)」だ。
ウェザーチェックの結果、やっぱり中止で即着陸
ということも十分ありうる天候なので、
派手な機動はないにせよ、飛んでくれるだけでもありがたい。
1~4番機がフォーメーションテイクオフ。
6番機がそれに続く。
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離陸した編隊に、
ウェザーチェックを終えた5番機が合流。
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基地を北から大きく回り込みながら
隊形変換。
着陸灯が輝く。
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「デルタ・ダーティー・ローパス」
デルタは三角形、ダーティー(dirty)はランディングギアを出した状態のこと。
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「リーダーズ・ベネフィット・ローパス」
1番機を先頭に、2~6番機がアブレスト隊形で続く。
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「ポイント・スター・ローパス」
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4番機を芯にした五角形の編隊。
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演目をこなしながらも、
依然として雨雲の動きは悩みの種になっているようだ。
このまま続けるか止めるかで無線の通話が二転三転している。
しかし、なんとか続行が決定したようだ。
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「スワン・ローパス」
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「グランドクロス・ローパス」
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新課目「フェニックス・ローパス」
東日本大震災からの復興に願いを込めた新技。
6機のブルーが不死鳥となって空を舞う。
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相変わらず雲行きは怪しく、
航過飛行も終了かと思ったその時、
無線から願ってもない声が聞こえた。
「以降4区分!」
アクロバット課目が実施されるということだ。
6番機によるスローロールに続いて、
5,6番機による「コークスクリュー」
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背面になった5番機の周りを
6番機がバレルロールで追従する。
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この日、6番機の操縦桿を握っている
橋本健二一尉はこの小松基地航空祭が
ブルーインパルスでのラストフライトとなる。
演技からその気合が伝わってくる。
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喝采の中、飛行展示は終了。
航空祭終了間近、
ブルーの機列の前にメンバーの姿があった。
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橋本一尉はこの小松基地航空祭が
ブルーインパルス6番機パイロットとしての
ラストフライトとなる。
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ブルーインパルスのパイロットは、
元々はF-15やF-2といった戦闘機で飛んできた人達だ。
橋本一尉も、今シーズン限りで青いT-4を降り、
元の戦闘機乗りに戻っていく。
ブルーインパルスの任期は3年間。
パイロットとして飛ぶ月日の中にあって
ほんの一瞬と言っていいほどの時間なのかもしれない。
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だがその「一瞬」は、
人々の胸に、今も熱く刻まれている。
あの日、青い空に描かれた、
純白の航跡が忘れられることはない。
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ありがとう!
そして、お疲れさまでした!
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