平田謙三 平田浩一 氷彫刻『遊泳』【9】

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渾身。

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謙三さんが序盤に彫り上げた
卵型の立体。

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頭とヒレが接着され
大きな海亀になった。

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ブルーシートが取り払われる。

ついに
氷彫の全体像が見えた。

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しかし
またもやの雨。

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氷彫の完成を阻むかのように
強さを増しながら降ってくる。

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最も脆い部分にも
ウロコ彫りが施される。

もう、後戻りはできない。

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懸命の仕上げ作業。

音を立てて降る

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謙三さんが彫った大きな海亀の上に
大切に保管してあった。小さな海亀が載せられる。

親子亀。

気温が高く氷が脆いこの状況で
繊細に加工された海亀を、
さらに立体的に重ねあわせる。
氷彫刻の常識では考えられない技巧だ。

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子ガメの背中に
最後の仕上げが施される。

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雨が上がった。

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気温、
摂氏7度。

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1月26日、
午前5時30分。

氷彫『遊泳』

完成。

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息つく暇もなく
後片付けに入る。

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いつもなら凍りついているはずの工具も
雨の名残に濡れている。

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この夜が長かったのか短かったのか
それすらもよく分からないほど
疲労が全身にまとわりついている。

戦いを終えた親子に
言葉はない。

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【10】に続く

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