平田謙三 平田浩一 氷彫刻『龍』【6】

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完成した『龍』を見つめる謙三さん。

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作業台においてあったポカリスエット。

一夜のうちに
凍りついた。

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完成の余韻に浸る間もなく
撤収作業に入る。

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工具にお湯をかけながら
丁寧に洗う。

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謙三さんの
道具を洗うその所作。

洗っているというよりは、
「湯浴み」させている。

まるで、
道具達の労をねぎらうかのように。

自分の手足となってくれた、
道具たちを慈しむかのように。

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その所作は、
浩一さんも同じだった。

謙三さんの魂は
浩一さんにも
着実に受け継がれている。

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無言のうちに行われる
その儀式を、
神聖な気持ちで
ファインダー越しに見守る。

この道具達への接し方。

氷彫に賭ける親子の核心に
少しだけ、近づけた気がする。

工具の片付け作業(平田謙三・平田浩一・氷彫刻『龍』)

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華麗にライトアップされる氷像たちに
眼をくれることもなく、
淡々と片付けを続ける二人。

その背中は
仕事をやり遂げた
職人の矜持を
湛えているように見えた。

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撤収作業も終わり、
ようやく一息つける時間。

本格的に朝が訪れた会場で、
『龍』をじっと見つめる浩一さん。

写真を撮るでもなく、
誰かと語らうでもなく、
ただ、その目に焼き付けているのか。

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「それじゃあ、帰りまーす!」

早朝のの会場に、謙三さんの明るい声が響く。

二人の「氷の行者」が
どこにでもいそうな親子に戻る。

笑顔の素敵な
父と子に。

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『龍』は、
そんな二人の魂を
その身に宿しているに違いない。

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~ 【7】に続く ~

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