平田謙三 平田浩一 氷彫刻『龍』【4】

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気温、氷点下3.2度。

夜半をとうに過ぎたが、
手が休まることは片時もない。

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人の背丈をゆうに超える巨大な龍に、
なぜそこまでするのか、
というレベルで微細な起伏が刻まれていく。

表面研磨(平田謙三・平田浩一・氷彫刻『龍』)

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一枚一枚、丁寧に彫り込まれた鱗。
今にも、うねうねと動き出しそうな気配を漂わせる。

鱗が彫り上がった龍(平田謙三・平田浩一・氷彫刻『龍』)

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龍がその身に、大きな球を抱えているのは
制作のかなり早い段階から見えていた。

龍が抱える、という先入観から、
私はてっきりそれが大きな宝珠だと思っていた。
大きな龍が抱える、透明な宝珠。
なかなか絵になるなあ、と予想していた。

ところが、である。
なんとその大きな球は、ノミが入れられ、
くり抜かれ、有機的な曲線が絡みあう、
かご状の球体に姿を変えたのだ。

浩一さんが手にしていた
設計図にも、この造形は描かれていなかった。

一体、この龍はどうなるというのか。

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ずっと龍にかかりきりだった浩一さんが
氷像を離れ、
そこにあった氷板を
工具でなぞり始めた。

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穿たれていく流れるような曲線。

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氷板から切り離された波打つ部品。

あの固い氷が、
これほどの柔らかい曲線を描くことになるとは。

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部品に炎を当て、

滑らかさと透明感を出す。

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微妙にカーブが異なる部品をもう一本。

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一体何を作っているのか。

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程なく謎が解けた。

浩一さんは龍のヒゲを作っていたのだった。

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1本目を接着。

髭の生えた龍頭部(平田謙三・平田浩一・氷彫刻『龍』)

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2本目。

なんと、コールドスプレーを接着剤として使う。

コールドスプレーを使ったパーツ接着(平田謙三・平田浩一・氷彫刻『龍』)

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制作開始から10時間あまり経過。

いよいよ、龍の完成形が見えてきた。

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~ 【5】に続く ~

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